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カープ 秋山翔吾 ~巻き返し誓って挑む新スタイル~

  • 2023年03月16日

オープン戦が本格化し、開幕に向けて、チーム内でのポジション競争も激しさを増しています。その中で、連日、広島カープの1番打者として存在感をアピールしているのが、秋山翔吾選手(34)です。去年のシーズン途中に、大リーグから加わり、シーズン安打の日本記録を打ち立てたバッティングに期待が集まりましたが、不本意なシーズンとなりました。ことしを、巻き返しを誓って、新たな打撃スタイルを模索しています。試行錯誤の日々を見つめました。

広島放送局 ディレクター 鈴木俊太郎

キャンプ初日から 全力でグランドを駆け回る

キャンプで走塁練習する秋山選手

4年ぶりとなる日本でのキャンプ。秋山選手は、初日から全力で、グランドを駆け回っていました。キャンプ最初のメニューは短距離の往復を繰り返す「インターバル走」でした。セットを重ねるにつれて、タイムを大きく落とす選手が増えるなか、すべてのセットでタイムを落とさず苦しい素振りも見せません。こうした姿は、ことしにかける決意の表れでした。

(秋山選手)
このキャンプ期間も含め、この先もそうですけど、アクセルを踏み続けて、踏み込む1年にしたい。僕の場合は、1本の走ることがヒット1本につながると思ってやっているし、キャリアを積んできて、何か重たそうとか遅そうというイメージが、つきやすいな、と思ってるので、何とか若々しくいたいという思いはすごく強く持ってます。特に今年は。

「このままでは先はない…」 ここ数年の不本意なシーズン

秋山選手は、西武時代、ボールを体の近くまでひきつけ、ヒットを量産しました。2015年のシーズン216本のヒットは今も日本記録です。そうした実績をひっさげて3年前に大リーグに挑戦しました。しかし、大リーグのピッチャーの球威に苦しみ、2シーズンでヒットは71でした。そして、活躍できないまま去年、戦力外となりました。

大リーグ時代の秋山選手

(秋山選手)
単純に言えば力が足りなかった ということですね。自分の能力、体力的なところかもしれませんがとにかく、足りないもの、足りたものが多分なかったと思う。これはできたっていうのは、正直、あまりありませんでした。

日本に戻り、加わったカープでも、直球に差し込まれる場面があり、打率は2割6分5厘と、かつて、チームを勢いづけたプレーは影を潜めました。

カープに移籍1年目の秋山選手

(秋山選手)
(去年までの)イメージというか近いような打ち方で戻ってきてやっても、あまり先がないなっていう。やっぱりきついかな、というのを、僕自身も、周りが見てもちょっと厳しいのかなって思われたシーズンだと、多分もう、そんなに先が長くない野球人生になってしまうような気がしていて。

新たに取り組むのは「ボールを前で捉える」スタイル

自分は、プロとして、いつまで、野球ができるのか…。秋山選手は新しいスタイルを模索し始めました。それが、「体の前でボールを捉える」スタイルです。前で捉えるとボールを見る時間は短くなりますが、引きつけて打つよりボールに強い力を加えることができます。

キャンプで打撃練習に取り組む秋山選手

練習では、強く力を伝えるために工夫しています。まずは、短く軽いバットで片手ずつのスイングです。さらに、重さや長さの異なるバットでスイングもします。決意を新たに臨んだキャンプでは新たなスタイルを体にしみこませていました。

キャンプ3日目からは、いち早く、ピッチャーを相手にバッティングをしました。打席で感覚にズレを感じると、居残り練習ですぐに確認する姿もあり、気になるところがあると新井監督にも、質問を投げかけていました。

新井監督に質問を投げかける秋山選手

(秋山選手)
脇を絞ってスイングする時に、左の肘がへその方に入っていったら、左肩が出てしまう。どうしても、打ちに行く時の壁だけは(前に)動かしたくないんですよ。このジレンマがすごくあって、前でも打ちたいし・・・。

(新井貴浩監督)
自分では、肩が出ているんじゃないかと思ったりするけど、見てる感じだと、全然、肩は出ていないよ。

変化の手応えを感じながらシーズン開幕へ

自らと向き合うなかで、変化も出始めています。

(秋山選手)
良い時は(マメが)右中指の指先の方に出来るんですよ。今ちょっとずつ、固まって来ているんで。ことしは、左手に出来なくなった。前の方が左手にできていた気がします

35歳を迎える年で新たに踏み出す1歩。ここからが、秋山選手の戦いです。

(秋山選手)
ここから何年後に自分が野球選手としてとどまってしまうのか、ここから何年、自分で行けるのか、そういう試されてるシーズンだなって。ここから10年考えたときに、もし現役でってなったら、1年目なわけですよね。守りに入るんじゃなくて、行こうっていうメンタルになってるっていうのは、すごく今いい精神状態かなと思います

オープン戦でも1番打者として、タイムリーヒットを放つなど結果をだしています。ベテランと呼ばれる年齢に入ってもなお、常に自らを客観的に捉え、変化しようと努力を続ける姿に触れ、ことし40歳を迎える私自身も背筋が伸びる思いを抱くとともに今後も秋山選手の挑戦を見つめ続けたいと思っています。

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