カープ九里亜蓮投手 大野豊さん直撃インタビュー
- 2023年03月14日
プロ10年目の節目のシーズンを迎えるカープの九里亜蓮投手(31)。2月のキャンプでは新しい投球フォームの習得に取り組んできた。その狙いについて、大野豊さんが九里投手にインタビュー。お好みワイドでは放送できなかった部分も含めてお伝えします!
(広島放送局アナウンサー 高木修平)
シーズンオフ アメリカでの学び
大野さん)シーズンオフ。アメリカでトレーニングをしようと思ったのは?
九里投手)去年までの9年間やってきたことをそのまま継続してやっても同じような結果しか出ないんだろうなと感じたのが一番ですね。もっといい成績を残すには何が必要かと考えた時に、強いストレートを投げたいと思った。よくても悪くても変化球に頼るとシーズン後半になればなるほど、変化球は振ってくれなくなりますし、しっかりとした強いストレートを投げることで変化球も振ってもらえると思う。そのためにもボールの威力を強くしたい気持ちが強くなったので、動作解析だったり、球速を上げるためのトレーニングを学んだりしてみたいという気持ちでアメリカに行きました。
大野さん)アメリカではフォームの改造に取り組み、体の使い方を変えたと聞いた。
九里投手)アメリカに行ってすぐに、体の動きをチェックするセンサーで投球フォームを見てもらった。すると“体がまず使えていない。全部上半身の力だけで投げている”と最初に指摘された。今まで自分の動作を解析することをやったことがなく、自分の中では下半身をすごく使って投げているつもりだったので、そこに一番びっくりしました。
大野さん)指摘された動きを説明してもらえますか?
九里投手)これまでは足を上げた時に一度静止してから投げていた。でも、アメリカで言われたのは、静止してしまうと、その時点で力がゼロになってしまうので静止する意味がないと。そこで、いま取り組んでいるのは、まずは足を上げてから止まらずに一連の投球の動きに移行していくこと。そして、もう一つ意識しているのは踏み込む足の使い方ですね。これまでは足を着地させて、ひざを曲げたまま上体を回転させて投げていたが、着地した時にひざを伸ばすことによって体の動きを一度止めて、その反動で骨盤を回転させるスピードを上げる。これらの動きをキャンプではひたすら意識して練習してきました。
大野さん)取り組んできたことが試合ではどれくらい出せた?
九里投手)去年のキャンプの時よりは球速で2~3キロほど速くなっているので、やっていることは間違いじゃないんだろうなと感じています。オープン戦でも144キロ出たのでびっくりしました。見る方からすると、フォームがあまり変わっていないように見えるかもしれませんが、僕の感覚的にはすべてが違うんです。まだそれに完全に馴染み切っていないというか、マウンドでも考えながら投げてしまっているのが現状です。それを全部意識せずに体を速く回転できれば今よりもスピードが上がるんじゃないかなというイメージはわいています。
大野さん)腕の振りも速くなった感じはした?その見方でいい?
九里投手)いいと思います。バッターもピッチャーに腕を振られれば振られるほど、ストレートも変化球も嫌だと思うので。
大野さん)九里投手にとっては、ストレートは変化球を生かすため?
九里投手)それが一番ですね。どちらかというと自分は変化球ピッチャーだと思っています。だからこそ変化球を生かすにはストレートをしっかりと投げないといけない。チームを勝たすために、成績を上げるためにもそこが必要だと思っています。
新たな取り組みの先に見すえるもの
大野さん)この先、どういう投手を目指したいと考えていますか?
九里投手)狙って三振を取れたり、ゴロで打ち取れたりできるピッチャーはもちろん理想ですが、僕が目指すところは計算できるピッチャーですね。1年間ローテーションを守るだけじゃなくて、このピッチャーが投げれば、6回3失点くらいでまとめてくれる。そういう安心感のある計算できるピッチャーになりたいですね。
大野さん)そのためにはどのような組立てをしたい?
九里投手)昨シーズンまでは両サイドを使って、ボールの出し入れで勝負することのほうが多かったんですが、奥行きで勝負したいなと思っています。高低を踏まえて、左右のコースは外さないように。ストライクゾーンの中での高低と奥行き、そこで勝負したいなと思っています。
大野さん)自分も九里投手の投球スタイルや投げられる球種からすると、高低をもっと意識したほうがいいのではと思っていた。あまり両サイドに投げると常に外れてボールになるケースがあるじゃないですか。自分の思う理想の投手像と九里投手の話が結構合ってよかったなと思っています。
九里投手)ありがとうございます。本当にそこだと思っています。
プロ10年目 投手陣の年長者としての自覚
大野さん)プロ10年目の節目のシーズン。投手陣の年長者として求められるものは?
九里投手)いろいろなピッチャーに目を配りながらやっていくのも自分の役目だと思いますし、個人としては、自分の勝ち負けがつくかどうかは関係なしに、1試合でも多く、チームの勝ちにつながるようなピッチングをしていかないといけない立場じゃないかなと思っています。
大野さん)数字面での目標は?
九里投手)ここ2,3年、先発登板を多くさせてもらっている中で、自分が一番こだわっているイニングについては投げ切ることができていない。昨シーズンは170イニングを目標と言って達成できなかった。今年は200イニング投げることを目標に。170イニングは最低ラインと思えるくらいしっかり投げたいと思います。
大野さん)2度目の2桁勝利と最多勝のタイトルへの思いは?
九里投手)勝ち負けは置いておいて、ピッチャーで一番評価されるのは防御率とイニングだと思うので、そこには強いこだわりも持ってやりたいと思います。防御率も2点台を目標に。そうすれば自然と勝ち星も増えて、タイトルを取ったときの13勝は絶対に超えていると思うので。
大野さん)新しいフォームをしっかり固めて、いいシーズンを過ごせるようにしてください。ありがとうございました。
【インタビュー制作担当】高木修平アナウンサー(広島放送局)