教えて!アスリート 世界の名セッターゆかりのチームが登場
- 2022年12月26日
今回、質問を寄せてくれたのは、広島市安佐南区の古市小学校のみなさんです。
チーム名は「古市バレーボールスポーツ少年団」。現在は10人の子どもたちが週に5回練習に励んでいます。
ミュンヘンオリンピックで金メダルを獲得し、世界の名セッターと称賛された猫田勝敏さんの母校として知られています。
校庭の一角には、猫田さんを顕彰する碑が設置されていて、その功績を今の子どもたちに伝えています。
かつて猫田さんが所属したチームは「専売広島」。今のJTサンダーズ広島です。練習を行っているのは、広島市南区の「猫田記念体育館」です。子どもたちの質問に2人の選手が答えてくれました。
井上航選手(28)は、広島市出身で、古市バレーボールスポーツ少年団で競技を始めました。俊敏な動きが持ち味で、リベロとしてプレーしています。
小野寺太志選手(26)は、東京オリンピック日本代表で、高さを生かした攻撃が持ち味です。二人は東海大学時代の先輩と後輩。やりとりのコンビネーションも抜群でした。(取材:アナウンサー佐藤洋之)
基礎体力編
佐々木海斗くん(小2)
身長が高くなりたいです。どうやって高くなりましたか?
小野寺太志選手
僕は何でも食べましたし、はやく寝ていたし、先生や両親の言うことは素直に聞いていました。それで大きくなったと思います。牛乳は一番多いときで、一日に1パック、ご飯のときやのどが乾いたときも飲んでいました。
長尾亜紗陽さん(小5)
高く飛ぶコツを教えてください!
井上航選手
ジャンプする前にどれだけ強く踏み込むか、最後の踏み込みを意識しています。その踏み込みで、助走を力に変えて、飛ぶイメージです。
山田隆雅くん(小4)
どうやったらジャンプ力が上がりますか?
僕は守備の選手なのでジャンプ力無いです(笑)
ジャンプは足だけの力だと思われがちですけど、実は上半身の力が大事。腕の振り、膝、股関節、おなかなどいろんな体の部位を使ってジャンプするので、それを小学生のうちに、意識するのは難しいかもしれないです。一番簡単なのは、バスケットボールのリングなど目印に向けてジャンプを続けるのが結構はやいです。届くために、足の使い方、腕の振り、腰の使い方とか、何回も試して積み重ねることが、高いジャンプのきっかけになると思います。
サーブ編
佐々木海斗くん(小2)
バレーボールを始めたばかりで上からのサーブがまだ入りません。上手になるにはどうすればいいですか?
なるべく高いところで打ちましょう。手がボールのどの位置で当たったら強く打てるのか、何本も打って身につけていきましょう。
佐々木輝依さん(小5)
スパイクサーブはどうやったらミートして打てますか?
どれだけ正確に同じところにボールをあげられるか大事で、きれいにミートすることができるかも大事。まずジャンプせずに、立ったままボールを上げて、縦回転をつけるために、ボールの真上をたたけるようなミートの練習を繰り返すとよいと思います。
長尾亜紗陽さん(小5)
速くてコースを狙えるサーブを打つコツはなんですか?
ボールや椅子を置いて目印を作って、そこに打つためにはどういう打ち方をしたらよいか試すこと。さらに、スピードをつけて打つためには、どこのポイントで、どういう腕の振りをするか、繰り返し練習することがコツかと思います。
鎌田煌絆くん(小5)
サーブはどうやったらミートして無回転で打てますか?
ボールの真ん中を正しくたたかないといけない。打つところも、手のひらの真ん中でたたく。そのためにいろんな位置にボールをあげて一番良いポイントをみつけると良いです。僕は、真上より少し前の位置で打つとボールがよく見えるので、ミートがしやすく、前でたたく力もあって、速い無回転サーブが打てます。
田中大詩くん(小4)
フローターサーブのコツはありますか?
フローターサーブも無回転サーブを打つ時と同じようなことです。打てるようになった後は、左側を狙ってみよう、右側を狙ってみようとか、ちょっと前を狙ってみようとか、コースを意識してみてください。
三宅海斗くん(小4)
ジャンプフローターサーブはどうやったらうまく打てますか?
僕は中学生でバレーを始めたとき、すぐにジャンプフローターサーブ打てませんでした。高校生になってやっと打てるようになったレベルなので、小学生のうちにできたらすごいことです。打ちたかったら、上手な人の映像をたくさん見て、トスの高さやどの位置でボールをたたいているか参考にするとよいです。身長が低くても、JTだと合田心平さんのジャンプフローターサーブが参考になりますよ!
攻撃編
佐々木輝依さん(小5)
アタックはどうやったら強く打てますか?
腹筋の力、背中の力も必要、ジャンプするためにはお尻の力も大事。腕だけではなく全身の力を使って打つように意識すると、強くボールをたたけると思います。
藤原七海さん(小5)
速攻はどうやったら強く打てますか?セッターとタイミングが合わないことが多いです・・
トスは低くて速いボールがくるので、スパイカーとしては、ボールが来る前に自分はスパイクを打てる準備をはやくすること。セッターとのタイミングを合わせるには、スパイクを打つたびに、セッターと話し合いをするとよいです。日本代表でも大事にしていることですよ。
小野寺選手は、バレーを始めたころ、速攻を打つためにどんな工夫をしていましたか?
トスに対して、真っすぐ入るのではなく、斜めに入って、そのままクロスに強く打つと打ちやすかったです。助走の位置やジャンプするタイミングをいろいろ変えながら練習を重ねていき、打てるようになりました。
レシーブ・トス編
中居岬汰くん(小5)
スパイクのレシーブが上手にできるコツを教えてください!
小学生は低く構えることを教えられすぎて、なかなか一歩目が動きづらい状況になることが多いです。低く構えすぎるのではなくて、上半身リラックスした状態で構えると、反応しやすくなります。
岸田蓮くん(小4)
どうやったらブロックフォローがうまくなりますか?
スパイクは強い力で打つので、跳ね返る力も速い。そのため、ブロックフォローをする人は、先に下に手を出して構えておくことが大事です。
どうしたら、トスが上手になりますか?
僕たちは腕だけでも上げられるんですけど、小学生くらいだとまだ体ができていないので、膝を曲げてしっかり形作って、最後まで腕を伸ばして、体全体を使って飛ばすことを意識したほうがよいです。アンダーパスやオーバーパスという基本の動作はVリーグの選手も大事にしています。
田中大詩くん(小4)
二段トスをきれいに上げるコツを教えてください!
二段トスはそれこそ、ボールが乱れている状態なので、ボールを飛ばす距離も遠くなるので、さらに体全体を使ってトスをあげるように心がけてください。
藤原七海さん(小5)
レシーブはどうやったらセッターに返りますか?特に速いボールに対応できません・・
速いボールに対応するには、リラックスした状態で構えて、いつでも動き出せるような状態を作っておくことが大事。セッターに返すためにはしっかり手をセッターに向けないといけない。そのためにもリラックスさせ、あとは向けるだけという状態を事前に作ること。レシーブは結構難しくて、僕は中学校くらいで初めて感覚つかめました。試合の時に、がっつりはまったときがあって、その時、初めて「つかんだ」という感覚になりました。自分の中でフィットする瞬間が絶対あると思うので、あきらめずにやってほしいなと思います。
ふるさと編
佐々木輝依さん(小5)
井上選手は、古市バレーボールスポーツ少年団だから強くなれたことはありますか?
古市小がほかの小学校と違うのは、常にコートが4面あって、休み時間とかも友達とバレーボールする環境にあったので基礎の技術がすごく上達しました。今、Vリーグでできている秘けつなのかなと思うので、すごくありがたかったです。
子どもたちからは、両選手が驚くほどレベルの高い質問も寄せられました。古市小学校のみなさん、JTサンダーズ広島の井上選手、小野寺選手、ありがとうございます。
JTは年明けからVリーグが再開。8シーズンぶりのチャンピオンを目指す戦いが続きます。
古市バレーボールスポーツ少年団は、毎年8月の全国大会出場目指して練習に励みます。
猫田勝敏さんは、仲間への思いやりを忘れず、最後まであきらめずに努力を続けました。その精神を受け継ぐ広島の地で、ますますバレーボールが盛んになることを願っています。