勤務地は社員が選ぶ「転勤」 広島のソース会社の挑戦とは
- 2022年06月15日
「転勤」について、視聴者の方からこんな声が寄せられました。
「10年ほどの会社員時代に6回経験しました。独身の時は国内旅行のようで楽しいものでした。しかし家族ができた後は大変。脱サラして自営業になったので、単身赴任で家族と離れることもなかった良い人生です」。
転勤や単身赴任がつらいという声、確かに聞きますね。
実はいま、広島県内の企業の中には、転勤を見直し、新たな働き方を導入しているところもあるんです。
広島市内に本社があるオタフクソースは、従業員およそ770人。全国に20以上の営業拠点があります。
人事部長の島原由里子さんは3年前、「勇気と覚悟」を持って、新しい人事制度の導入を決断しました。
本人の事情によって、勤務地を本人が選んでいます。
福岡のケースなんですけれども、ご両親の介護をしたいということで、福岡で勤務をしながら、（広島）本社にあるIT推進部の仕事をしている人がいます。
もう1人は、結婚をするということで、滋賀で配偶者の方と一緒に暮らしながら会社の仕事を続けたいという相談を受けまして、テレワークを併用しながら大阪の事業所でITの仕事をしてもらっています。
この会社では、会社が勤務地を決め、転勤を命じるという考え方をやめました。
社員が勤務地を希望するにあたり、介護や子育てといった理由を示す必要もなくしました。趣味が理由でもOKです。ただし給与は5%下がります。
会社として大事にしたいのは社員一人一人が自分の力を十分に発揮してもらう事だと思っています。自分にはどういう環境が必要かというのを自分で考えて、主体的に動いて欲しいと思っていまして。そのために会社はできるだけ選択肢を作る、自由度を高めていきたいです｡
現在この制度を利用しているのは社員の25%。経営に大きな支障は出ていないといいます。
でも、社員がサボらないか、とか、きちんと評価ができるのか、といった不安はないのでしょうか？
今はリモートワークのツールもすこく便利なものがたくさんありまして、成果とかゴールが何かということをしつかり共有していれば、離れていても仕事のマネジメントはできるんじゃないかと思っています。
ほかにも、新型コロナをきっかけに新しい働き方を積極的に社員に求めている会社もあり、「働く場所は社員自ら決める」という動きが広がっているように感じます。
ところで、こんなデータもあります。
民間の調査機関が行った企業へのアンケート調査で、転勤制度について尋ねたところ「特に変更する予定はない」が84点2%に上りました。企業によっては現実的に難しいという所も少なくないのかもしれません。
それでも専門家は、働き方の多様化は確実に進んできていると捉えています。
法政大学キャリアデザイン学部武石恵美子教授
（企業側も）相当問題意識は持ってると思います。夫婦共働きということで、家族の形が大きく変わってますから、転勤を見直さなくちゃいけない時期には来ていたと思います。トレンドとしてこれまでのような転勤はもう無理っていう中にコロナで、やればできるじゃんっていうところで、1つ加速したんじゃないかという気がします。
今後の方向性については、
法政大学キャリアデザイン学部武石恵美子教授
働く人のライフスタイルだったり価値観だったりっていうのが変わってきていて、そこに対応しないと企業としても経営ができないとか人が集まらないとかそういう状況になってきている、企業が変わらざるを得ないというところに来ていると思います。
みなさんの働く職場は、どうですか？
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