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【出演者インタビュー】吉永 純さん「社会の構造的な部分にまでメスを入れないと」

2013年10月15日(火)

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10月7日、8日放送
(10月14日、15日再放送)
シリーズ 貧困拡大社会 検証“生活保護”
(1)制度見直しの影響は
(2)動き出した生活困窮者支援
にご出演の吉永 純さんにメッセージをいただきました。

 

《吉永 純さんプロフィール》

花園大学社会福祉学部教授。
貧困の現状と最低生活保障のあり方について研究。生活保護の元ケースワーカー。

 

 

――「検証“生活保護”」をテーマに、2回にわたって見ていきました。
番組をご覧になる方にはどのようなことを伝えたいと思いますか。

ひとつは、日本に広がる貧困がさまざまなかたちで
社会に現れていることをわかって欲しいですね。
「生活保護を受けている人は怠けている」という前提で話す人もいますけど、
そうじゃなくて、生活保護はしっかり社会で機能しているし、
もっと役に立つ制度としてどうあるべきかを考えなければいけない状況に
なってきている。もはや誰しも他人事ではないということです。

もうひとつは、生活保護者の自立支援は、
単に就労問題だけではなく、日常生活の支援や社会との関係を
どう取り結ぶかということまで含めて考えて欲しい。
そうすればより豊かな社会が生まれてくるんじゃないかと思います。
そのベースとして生活保護が使われたらいいですね。

 

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――生活保護法の改正に対してはさまざまな声がありますが、
吉永さんは懸念を抱くところはありますか。

ありますね。生活保護が増えているのは高齢者で、
働ける20代の受給者は、失業者などを含む「その他世帯」18%のうちでも
わずか5パーセントくらいなんです。
今回の法改正はこれまでの生活保護を狭める方向ですから、
このままいくと食べていけない高齢者がどんどん増えてしまう。
さらにはワーキングプアーで年金を積み立てられない人も増え、
結局生活保護を受けるか、
低年金で生活するしかなくなってしまうのではないかと思います。

 

――福祉事務所のある全国の自治体に、
新たな総合相談窓口を設置することを義務づける
「生活困窮者自立支援法」の審議が見込まれています。
“第2
のセーフティーネット”と期待されていますが、
この法律についてはいかがですか。

生活困窮者自立支援法に関しては、
福祉事務所としてもケースワーカーとしても連携の相手が増えるし、
ひとりを支えるためにみんなが力を合わせることができる条件はあるので、
生活保護で所得保障をきちんと行うという前提がはっきりするならば、
ひとつの手がかりになる制度だと思います。

 

――収録では話せなかったことがあれば教えて下さい。

貧困問題の原因は根深く、やはり個別支援だけではなくて、
もっと大きな枠組みで考えていかないと解決できない問題だと思います。
生活保護も自立支援も基本的には受け皿ですので、
落ちてくる人をどう受け止めて、元の生活に戻ってもらうかということに
主眼をおいているんですね。
だからその元となる社会の構造的なところにまでメスを入れていかないと、
結局のところ、貧困という水道の蛇口を全開にしておいて
バケツだけを取り替えているようなものですから、
それでは限界があると私は思います。



シリーズ 《貧困拡大社会》検証 生活保護(1)制度見直しの影響は
本放送=10/7(月)夜8時
再放送=10/14(月)午後1時5分

シリーズ 《貧困拡大社会》検証 生活保護(2)動き出す困窮者支援
本放送=10/8(火)夜8時
再放送=10/15(火)午後1時5分

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