美輪明宏 選
(歌手/俳優/演出家)

おかあさんへ

木内きうち チエちえ

 18歳 知的障害
(第7回 2001年)

*作詩者情報は入選当時

おかあさん
わたしが生(うまれ)た
時(とき)空(そら)は
どんな色
してた
わたしが歩いた
日覚えてる
わたしを、
生んでくれて
ありがとう

朗読音声

美輪明宏さんからのコメント
一人の人間が、胎内の仄(ほの)暗い闇の中から生まれ出た瞬間、
世界中の空がバラ色に輝く絵柄の詩は、母子相互の愛と感謝を表現するのに最もふさわしい作品だと思われました。
愛し子が、はじめて立ちあがった時、歩きはじめた時、その驚きと喜びは、一生忘れられない思い出でしょう。

作詩者の今

作者は木内チエさん、現在38歳。今から20年前、18歳のときにこの作品がうまれました。知的障害のあるチエさんは人との関わりが苦手で、受け答えはいつも「そうだよ」の一言程度。家族が手をつなごうとしても拒むそうです。
そんなチエさんが、お母さんへの愛と感謝をつづったこの作品。お母さんは初めて読んだとき、「娘がこんなことを思ってくれていたのか」と、驚きと喜びを感じたといいます。
当時から20年。チエさんは福祉作業所で働きながら、大好きなお母さんと一緒に、規則正しく健やかな日々を送っています。