クローズアップ現代

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かんぽ生命の保険をめぐる番組制作について

かんぽ生命の保険をめぐる番組制作について

2019年10月18日

大型企画開発センター

かんぽ生命の保険の不適切な販売をめぐる問題を取り上げたクローズアップ現代+の取材や放送が、郵政側の不当な圧力によって歪められたという報道がありました。しかし、こうした報道は事実と異なります。個別の取材内容や番組の制作過程は私たちが守るべき重要な情報であり、原則として公表していませんが、私たちは番組への信頼を維持し、今後も報道機関としての社会的責任を果たしていくために、視聴者の皆さまへの説明責任を果たすことが必要と判断しました。一連の経緯や番組としての見解について、以下、説明いたします。

番組の取材と放送の経緯について

クローズアップ現代+が、かんぽ生命の保険をめぐる問題を最初に取り上げたのは、去年4月24日の「郵便局が保険を“押し売り”!? 郵便局員たちの告白」です。SNSで広く情報提供を呼びかけ、寄せられた情報をもとにさらに取材を深めていく手法を取り入れました。番組は公平性を期すため、取材に応じた日本郵便株式会社や株式会社かんぽ生命保険の幹部のインタビューも放送しました。

2018年4月24日放送 「郵便局が保険を“押し売り”!? 郵便局員たちの告白」

情報の提供を呼びかける動画を掲載した経緯

番組放送後も「郵便局の体質は変わっていない」という情報が相次いで寄せられたため、私たちは、引き続き、同じ手法で取材を行うことにしました。去年8月10日に放送したクローズアップ現代+の夏季特集で取り上げる複数のテーマの中の1つとすることを目標に、7月に番組公式のホームページ、ツイッター、フェイスブックに動画を掲載し、情報の提供を呼びかけました。

2018年7月7日掲載
「続報 止まらない!? 保険の“押し売り”」


2018年7月10日掲載
「続報2 郵便局員たちの告白 “変わらない実態”」


これらの動画について、7月11日付で、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険の3社の社長名でNHK会長宛に「内容が一方的で事実誤認がある」などとして、掲載の中止を申し入れる書面が届きました。取材対象となる当事者からの指摘でもあり、私たちは事実誤認がないか改めて内容を精査しました。2本の動画は、保険の販売をめぐって郵便局の体質が変わっていないことを示す契約者の証言や、高い営業目標についての現役職員の証言をまじえて編集したもので、訂正すべき事実の誤りはありませんでしたが、字幕によって、情報提供を呼びかけるものであるということをより明確にした上で、情報の客観性を高めた更新版を7月13日に掲載しました。

2018年7月13日再掲載
「続報 止まらない!? 保険の“押し売り”」


2018年7月13日再掲載
「続報2 郵便局員たちの告白 “変わらない実態”」

その後の取材交渉について

郵政3社からは、その後も繰り返し動画の掲載中止を求められましたが、私たちは取材を続ける必要があると判断し、動画の掲載を続けるとともに、関係者への取材を進めました。この間、郵政3社に対しては7月11日付の書面に対するNHKとしての回答文書(統括チーフ・プロデューサー名)も準備したうえで、面談やメール、文書等を通じて取材の申し込みを行っていました。しかし、郵政側からは「動画の掲載中止と会長名の回答文書の提出なしには取材交渉のスタートラインにつくことができない」という理由で、NHKの回答文書の受領や取材は断られました。その後も複数回、郵政側の広報担当者とやり取りを重ねましたが、8月2日付で、郵政3社の社長名で会長宛に、「取材・撮影の対応を控える」、「動画を直ちに削除するよう申し入れる」とする内容の書面が届きました。動画の掲載中止を求める郵政側の姿勢は、7月11日から一貫して変わることはなかったと認識しています。
なお、この間の取材交渉について、郵政側から「反社会勢力的な取材手法」との指摘がありますが、動画の掲載中止を求める郵政側との一連のやりとりの中で、動画の取り扱いに言及したことはあるものの、「取材を受けたら動画を消すという手法は暴力団と一緒」と言われるような取材をした事実はありません。番組の放送を目指して丁寧に取材交渉を続けてきたと考えています。

取材継続の判断について

郵政側とのやり取りと並行し、私たちは目標としていた放送を前に、それまでに寄せられた情報や資料をまとめる作業に入りました。その結果、郵政のテーマを続編として深めて取り上げるには十分な取材が尽くされていないと判断し、10日に放送した夏季特集には入れずに、さらに取材を継続することにしました。情報の提供を呼びかける動画については、10日の放送を念頭に広く意見を募るという役割を終えたと考え、8月3日に公開を終えることにしました。その上で、郵政側には取材の申し入れを続けていくことを伝えました。

続編の放送について

2019年7月31日放送 「検証1年 郵便局・保険の不適切販売」

私たちは、その後も取材を続け、今年7月、「検証1年 郵便局・保険の不適切販売」を放送しました。この番組では、郵便局長ら組織の管理者が不適切な販売に関与したことを示す内部文書や、ゆうちょ銀行の投資信託販売に法令違反の疑いがあったケースなどについて伝えました。

編集権をめぐる説明について

郵政側から届いた去年8月2日付の書面の中で、番組の統括チーフ・プロデューサーが、郵政側の広報担当者との取材交渉のやりとりの中で、「番組制作と経営は分離しているため、番組制作について会長は関与しない」と説明したとして、放送法上、編集権が会長にあることやNHKのガバナンス体制の認識を問う申し入れがありました。これに対し、8月3日、クローズアップ現代+やNHKスペシャルの制作を統括する大型企画開発センター長から日本郵政の広報部長に対し、電話でNHKの見解を伝えました。この中で、NHKの番組制作・編集の最終責任者は会長であることは放送法に規定されており、公式的にそうした説明をしていること、実際の業務運営は放送総局長に分掌され、そのうえで個別の番組に関しては、番組の責任者が個々の番組の取材や編集に関わっていることを説明し、先の統括チーフ・プロデューサーの説明については「口頭での説明が舌足らずの部分があったかもしれません。その点についてはご理解いただきたいと思います」とお断りをしています。
この電話以降、郵政側の反応がなかったことから、放送法等についてのNHKの見解にご理解いただいたものと認識していました。

経営委員会による会長への厳重注意とその影響について

去年10月23日に、経営委員会が会長に行った厳重注意が、放送の自主・自律や番組編集の自由に影響を与えた事実はありません。前述のとおり、動画の更新作業や取材継続の判断は、去年の7月から8月にかけて行われたものです。したがって、経営委員会による会長への厳重注意が番組の取材や制作に影響したことは時系列からみてもありえません。

最後に

報道に至る過程で、取材を受ける当事者から反論や抗議を受けることは少なからずあり、 今回の郵政側からの申し入れもその一つと受け止めています。私たちは、今回の番組について、取材で得られた事実や関係者間の主張の対立点、解明されていない点などを十分に検討し、あくまでも私たちの編集判断のもと、放送時期や内容を決定しました。去年8月以降も、取材を尽くした上で放送をめざすという姿勢に変わりはなく、取材班は、他のテーマの取材や制作に関わりながら、並行して郵政の取材を続けました。去年4月に放送した番組の続編として、郵政の組織的な問題をより深く掘り下げる必要があると考え、郵政グループへの様々な追加取材に加えて、金融庁の調査や、かんぽ生命保険の社内調査の動きも追跡し、今年7月、続編の放送にこぎつけました。放送の自主・自律や番組編集の自由が損なわれたかのような外部の報道は、事実と異なります。
今回の一連の報道のあと、視聴者の皆さまから様々な声をいただきました。私たちは皆さまの声を真摯に受け止め、引き続き、かんぽ生命や郵政の問題について取材を続けていきます。

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