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2019年9月10日(火)
都市生活はなぜ麻痺(まひ)した? ~徹底検証・台風15号~

都市生活はなぜ麻痺(まひ)した?
~徹底検証・台風15号~

関東各地を襲った台風15号を検証、記録的な暴風が都市を「麻痺」させるリスクを最新情報を交えて掘り下げ、どう備えるべきか考える。今回、あらわになった課題がふたつある。鉄道各社が計画運休したにもかかわらず、通勤が大混乱、会社にたどり着くまでに何時間もかかる人が続出したことだ。鉄道会社からは「もはや鉄道だけが運休するだけでは限界がある」と企業の大胆な取り組みを求める声があがる。こうした中、社員70人のソフトウエアメーカーでは東日本大震災以来、災害のたびに計画を改善し、今回の台風も70人中65人は自宅勤務にすることでトラブルを防いだ。もうひとつが、送電線の鉄塔倒壊による停電。千葉県内で停電が続いているが、台風後の猛暑の中でもエアコンが効かず、病院や介護施設、さらには自宅でも多くの住民が熱中症のリスクに直面している。今回明らかになったことをもとに、今後どういう対策を打っていくべきか、考える。

出演者

  • 廣井悠さん (東京大学大学院 准教授)
  • 安田陽さん (京都大学大学院 特任教授)
  • 武田真一 (キャスター)

“大規模停電” あらわになったリスク

今夜撮影された空からの映像。明かりの消えた街を車のライトだけが流れていきます。千葉県では今も広範囲で停電が続いています。

なぜ、これほどまでに大規模な停電が起きたのか。千葉県君津市では、高さおよそ50メートルの巨大な鉄塔が2基、倒れました。

さらに街なかでは、多くの電柱が倒壊。これが広い範囲の停電につながったとみられています。

送電の仕組みです。発電所で作られた電気は、鉄塔の送電線などを経由して各家庭に送られます。今回、鉄塔の倒壊が影響したのは、およそ10万戸。しかし、これだけなら別のルートにう回させ、電気を送ることが可能です。

一方、街なかの電柱の被害によって発生した停電は、およそ50万戸。家庭に電気を引き込む電柱は、鉄塔のようにう回するルートを持たないものも多いため、復旧には修理が必要で時間がかかるのです。

今日(10日)、街なかの電柱の復旧作業を取材すると…。作業現場は、道幅3メートルもない入り組んだ住宅街。奥には折れた電柱が見えます。木が住宅に倒れる危険もあるため、細心の注意を払っての作業が続きます。東京電力の発表によると、今日時点で84本の電柱の倒壊が確認されたといいます。

復旧作業員
「結構大規模な停電で、我々も把握はしていないんですけれど。最初細かいことから手をつけていって、あとは大きく工事して最後に電気を送る感じ。」

今日、停電が続く現場を視察した、エネルギー政策が専門の金田武司さん。倒壊に至らなくても深刻なダメージを受けている電柱を多数発見しました。

ユニバーサルエネルギー研究所 金田武司さん
「屋根から吹き飛んだトタンが電柱の上に引っかかっている場所が何か所かありました。」

金田さんが何度も目にしたのは、吹き飛んだ屋根が電線に接触している現場。こうした飛来物でも、ショートなどして停電が起きるのです。金田さんは、今回の台風による被害の最大の特徴は、家庭に電気を届けるこうした電柱や電線が広範囲に被害を受けたことだといいます。

ユニバーサルエネルギー研究所 金田武司さん
「電柱の場合は、見てのとおり街なかに入り組んでいますよね。狭いところ、それから住居のすぐ隣。そこにアクセスするルートも限られています。そういう意味からすると、やはり電柱を元どおりに直すというのは時間がかかる作業だと思います。
風が強いから今まで鉄塔が倒れるとか電柱が倒れるのは想定外だった。人々の安全、地域の安全を守るために(電柱の)地下埋設もあると思いますし、電柱の例えば強度を増して本数を減らすとか、いろいろなやり方があると思います。」

停電で命のリスクが 住民は今

首都圏を襲った大規模停電。人々の生活にも大きな影響が出続けています。今も停電が続く君津市。水や食料、そして電源をなんとか確保しようと多くの人が市役所に詰めかけました。

「これがあと2、3日、1週間と続いたら、とんでもない話になっちゃう。」

停電の影響が特に大きいのが、災害弱者といわれる高齢者です。懸念は昨日(9日)の夜から広がっていました。
君津市にある特別養護老人ホーム。およそ200人が暮らしています。自家発電で介護に欠かせない照明や水をくみ上げるポンプは動かせるものの、大切な装置が止まっていました。

施設長 水野谷繁さん
「停電している関係で(エアコンが)動かない。29度超えて、30度近く。」

電力がかかるエアコンは、自家発電装置を使えずにいました。

水野谷繁さん
「お年寄りが熱中症とか脱水とかにならないように気をつけたいと思う。」

入所者の4割は90歳以上。100歳以上の人も7人。中には、認知症の人も。

職員
「暑い?」

入所者
「はい。」

職員たちは、ふだんの夜は安全のために閉めている廊下のドアと外窓を開け、風を入れることに。しかし、認知症の人にとっては思わぬリスクになる可能性もありました。

職員
「窓を開けて風をいれないといけないんですけど、ベランダに出てしまいそうな方もいますので、そうすると、見守りをしなきゃいけないというのと暑さを対策しなきゃいけないというところが相反する対応になってしまう。」

入所者の中には、暑い部屋を出て涼しい廊下に出てくる人も。安全を守りながら、なるべく部屋を涼しくしてあげたい。職員たちは一晩中、窓の開け閉めと見回りを続けました。

長引く停電。今日になって、治療が難しくなる病院も出てきました。8人の患者が、自衛隊のヘリコプターで別の地区の病院に移らざるを得なくなったのです。
自宅に暮らす高齢者の間でも危機感が広がっています。停電の影響で、デイサービスの多くは運営できていません。施設の職員が1軒1軒見回りを始めています。

後山嘉子さん
「涙出ちゃう、泣けてくる。」

後山嘉子さん、85歳です。

「こんな調子なんです、家の中。」

この日の最高気温は33度9分。88歳の夫と2人で、今も電気の届かない自宅で過ごしています。後山さんは心臓に持病を抱えています。暑さが体に大きな負担となっています。

「体調とか、どうですか?」

後山嘉子さん
「心臓の手術しとるからね、苦しい。こんな暑いときには。」

冷えなくなった冷蔵庫の食品はいつまでもつのか。頼みの綱の氷も、半分まで減っています。

「あまり使えないですね?」

後山嘉子さん
「うん。」

「つらいね、やはり年寄りが2人でおるっていうのはね。」

“大規模停電” 一体何が?

ゲスト安田陽さん(京都大学大学院 特任教授)

武田:猛暑の中の停電で、お年寄りや病気の人が命の危機にさらされる事態になっています。千葉県南房総市では、熱中症の疑いで93歳の女性が亡くなりました。停電した地域では今、何に困っているのか。住民が避難している千葉県君津市の公民館と中継がつながっています。

栗原:君津市はこの時間も3万7,000世帯あまりが停電しています。辺りは真っ暗で、家電は全く使えない状況です。携帯電話の通信も非常に悪い状況です。
さらに厳しいのが、暑さです。手元の温度計でこの時間も31度、湿度は70%。住民の皆さんはこの2日間、昼も夜も蒸し風呂のような状態で過ごしています。ありとあらゆる不便が続いている状況です。
そうした中、こちらの避難所は自家発電があります。この自家発電による僅かな電気を頼りに人が集まっている状況なんです。今日は特別に許可をいただいて、中からお伝えしていきます。

まず、こちらの避難所には扇風機があります。この扇風機で暑さをしのいでいるんですね。そしてさらにテレビがあり、大切な情報源になっています。そして、奥には携帯の充電スポットがあります。家族と連絡が取れなくて困っているという方もいるので、日中、多くの方がここで充電をしていました。この避難所で寝泊まりしているのは今14人なんですが、日中は多くの人が往来して、この僅かな電気を頼りに過ごしている状況なんです。

武田:電力システムが専門の安田さんです。今回、街なかの電柱があちこちで倒れ、広範囲に被害が出て、住民の皆さんは大変厳しい状況に置かれているわけですが、こういった被害が出た要因をどういうふうにとらえていらっしゃいますか?

安田さん:まず今回の台風15号ですが、やはり近年地球温暖化、気候変動によって台風の勢力が非常に強まっています。ですので、今まであまり台風がこなかった地域に勢力の強い台風が今回きた。そしてこれが今後、多くなる可能性が高いといわれています。これは以前より予想されていたことなんですけれども、現実になってしまったということで、今まで法令などで大丈夫だった電柱とかも、今後より強い強度にしなければならない。そういった議論も必要になってくると思います。

武田:台風直撃から2日たつわけですが、復旧がなかなか進みません。去年(2018年)の北海道の地震でも大規模な停電を経験したわけですが、そのときと比較して、今回なぜ復旧が進まない状況になっているんでしょうか?

安田さん:まず、台風だということが重要だと思います。北海道の昨年のブラックアウトの場合は局地地震でした。地震が起こった地域は物理的な損傷がありましたが、それ以外は大丈夫だった。ソフトウェア的に一時的にダウンした。そのため復旧も最高で2日間で済みました。今回の場合は、台風の通り道に面的に損傷箇所が非常に多いため、人的に直していかなければならず、時間がかかると予想されます。

武田:北海道ではシステムの問題だったけれども、今回は物理的に電柱が壊れたりという被害があったと。

安田さん:そこが違います。

“大規模停電” 被害を防ぐには?

武田:今回の大規模停電、まだ現地では大変厳しい状況で少しでも早い復旧がまず何より求められると思いますが、少し気が早いかもしれませんが、何か教訓を得るとしたらどういうことがあるでしょうか?

安田さん:まずリスク対策ですので、先ほどVTRでもありましたように、地中ケーブルにするなどの抜本的な対策も必要かと思います。そうしたインフラを変えるときはどうしてもコストがかかってしまって、電力料金も上がる可能性があるかもしれません。ただ、電力料金が上がってはいけないではなくて、将来のリスクに備えて、命を守るためにどれぐらいインフラに投資をすべきかということは、国民全体で議論する必要があります。

武田:そして、私たち一人一人が備えるというためには何ができるでしょうか?

安田さん:「リスクマネジメント」という専門用語をご紹介したいと思います。優先順位を決めて、大事なものから、まず守ると。一番重要なのは、在宅医療などをされている方。ご自宅で、もし電気が切れた場合、何分、何時間で命に関わりがあるかということを、あらかじめ医療機関の先生等にご相談をされておくことが重要だと思います。
それから、冷暖房ですね。これも無理せず、早めに避難所に移動されるなどという選択肢もございます。携帯電話は、優先順位は実はあまり高くないんですけども、やはりないと困りますので、これは手回しの発電機とかポータブル太陽光の電池などがすでに市販されていますので、それもやはりふだんから停電はあるかもしれないということで備えるというのがリスクマネジメントだと思います。

武田:何が自分にとって必要になるのかというのは、それぞれ人によって異なるわけですね。一人一人が場当たり的ではなく、自分がそうなったときに何が一番リスクなのかをよく考えて優先順位をつけて備える。

安田さん:おっしゃるとおりです。あらかじめ備えておくことが重要だと思います。

武田:今回、もう1つ大きな影響が出たのが交通網です。首都圏の鉄道各社は計画運休を行いましたが、混乱が起きました。

首都圏大混乱 “運休”で何が?

昨日、いつもの3倍ほど通勤に時間がかかったという村山大介さん。村山さんは、小田急線の新百合ヶ丘在住。職場は渋谷で、通常だと京王井の頭線に乗り換えて向かいます。
駅に着くと、電車は動いていたものの構内は大混雑。

会社員 村山大介さん
「会社にいなければできないこともあったので、そこだけはやりとげたいな、行ける所まで行ってみようかなと。」

村山さんは、9時47分に新百合ヶ丘駅を出発。途中で乗り換えるはずの私鉄が動いていなかったので、新宿駅を目指しました。動いていると思っていたJR山手線。しかし運転再開時間が大幅に遅れ、駅は人であふれかえっていました。

村山大介さん
「動いているかもよく分からなかったので、とりあえず並ぶというのが強い。いったん並んで待つしかない。」

この日、首都圏の鉄道に一体何が起きていたのか。私たちはGPSの位置情報をもとに、人々の動きを分析しました。

赤色が、より人の多い場所です。新宿駅に続々と人が集まっているのが分かります。
新宿に乗り入れる私鉄などは朝から動いている一方で、JR山手線は午前10時過ぎまで動きませんでした。私鉄とJRの運転再開のずれによって、新宿駅に人が滞留していたのです。

新宿駅に着いた村山さん。JR山手線はすでに運転を再開していましたが、1時間近く電車に乗ることはできませんでした。
それには、もう1つ理由がありました。山手線が出発する車庫は2か所だけ。運転開始と同時に順次列車を出していきましたが、本数は一気に増やせません。本数に比べて乗客の数が多く、乗り降りに時間がかかるため、通常ダイヤに戻るのに時間がかかったのです。

村山大介さん
「台風も過去に何回もあったのでそこまでのイメージはなくて、実感がわかないのが正直なところ。なんとかなるというところが大きかった。」

交通事情に詳しい、関西大学の安部誠治教授です。計画運休は望ましい対策と考える一方で鉄道会社だけでは限界もあると指摘します。

関西大学 社会安全学部 教授 安部誠治さん
「(JRと私鉄の)調整は難しいんですが、留意した運行再開が必要だと思います。鉄道会社だけが努力しても非常に難しい部分があって、一方で社会の側、会社や事業所の場合も、今回しっかり問題点を検証していくことが非常に重要。」

全社あげて“出勤しない選択” 秘密は

会社に向かう人たちで大混乱が起きていた昨日。ほとんどの社員がみずから出社しなかった会社を、カメラが撮影していました。

ソフトウェアメーカー 社長 平野洋一郎さん
「午後で9割くらいテレワーク、なので1割くらい来てますけど。午前はさらに少なかったですね。」

都内のソフトウエアメーカーでは、電車の運休が発表された日曜日の晩に在宅勤務を勧める通知を社員全員に送信。これに対して、社員たちから次々と出社しない連絡が入ってきました。

平野洋一郎さん
「出てきて駅で待たされて、電車で待たされて、ぎゅうぎゅうづめで汗だくになって会社に出てくる。その間仕事ができれば、圧倒的に生産性があがりますよね。」

この会社が災害時に在宅勤務を促すようになったきっかけは、東日本大震災。帰宅困難者が大量に出る中、会社に行かない働き方を模索するようになったのです。しかし、この取り組みを始めた当初、出勤しないことに罪悪感を覚える社員は多く、なかなか浸透しませんでした。
そこで、社員が気軽に在宅勤務を報告することができるアプリを開発。体調不良や事故などで交通機関のダイヤが乱れたときなど、日常的に在宅勤務を選べるようにしました。心理的なハードルになりそうな上司の承認手続きも廃止しました。さらに、テレビ電話やタブレットなど、自宅でも仕事ができるインフラを整えました。

在宅勤務中の社員
「台風が来て、そんな時にわざわざ出社しなくても家でやれば効率良いよねって。今回もテレワークをとりました。」

会社では、災害に限らず、35度以上の猛暑や雪が積もりそうなときにも在宅勤務を推奨しています。

ソフトウェアメーカー 社長 平野洋一郎さん
「災害の時は社員の安心安全を考えたときに、無理に出てくることが事故につながる危険性だってあるので、罪悪感みたいなものを感じずにテレワークをとれることが大切だと考えています。」

通勤大混乱 見えた課題は?

ゲスト廣井悠さん(東京大学大学院 准教授)

武田:こういった対策をとった企業もあったということなんですが。都市防災が専門の廣井さん。今回のこの通勤の混乱から見えた課題、ひと言で言うとどういうことになりますか?

廣井さん:大変な思いをされた方はたくさんいらっしゃると思います。やはり計画運休とか復旧の見込みというのは自然相手なんですね。なので非常に不確実性が高いと。そういった意味で、分からないながらも空振りを恐れずに発表するということは、今後も意味があると思います。ただ、先ほどもありましたが、鉄道事業者だけの努力では、いろいろな改善をこれからされると思いますが、なかなかこういう混乱の解消は難しいかなと一方で考えておりまして、社会の受け止め方というのを改めて考える必要がある。つまり、足並みをそろえて都市の機能を止めるためには、我々はどうすべきかということを考える必要があると思います。

武田:去年の大阪府北部の地震でも通勤による大きな影響が出ましたけれども、廣井さんがアンケートを行ったところによりますと、自宅にいた人の6割近く、そして出勤途中だった人の7割以上が「いつもどおり職場に向かった」と答えているということです。

一方で「出勤しなかった」という人にその影響を聞いたところ、「特にない」そして「支障が出なかった」という方を合わせると8割以上に上ったということなんです。これはどういうふうにとらえればいいでしょうか?

廣井さん:調査では「出勤不要者」といいますが、そういう方々が一部、車で出勤して、それで大阪の都心部で渋滞してしまって緊急車両の妨げになった事例が示唆されています。
そもそも、地震もそうですし今回の風水害もそうですが、計画運休というのは3つぐらいのメリットがあると考えています。1つ目のメリットは乗客の方々の安全確保。これはもう計画運休の一義的なメリットです。もう1つは外出者を減らす。計画運休をすることで、スケジュールを変更したりして外に出る人が減ると。そうすると、今回の非常に風の強い台風とかの場合は、看板が落ちてきて被災したりするリスクを減らすことがおそらくできます。3つ目のメリットは、社会の危機意識を上げるというメリットもあるのではないかと思います。つまり、計画運休をするほどの台風が発生している。何か大きな問題が起きるに違いないということで、例えば避難場所を確認するとか、あるいは避難の準備を行う対策行動を促すメリットがあるのではないかと考えます。
これは地震時も風水害時も同じかもしれませんが、こういう災害のときに出勤をどういうふうに選択するかどうするかということをきちんと考える必要がある。社会としてはどう減らすかを考える必要がありまして、例えば地震の場合は、出勤せずに地域内で家の近くでどう助け合うかを社会のルールにする。あるいは風水害の場合は、計画運休をきっかけにして避難場所を確認したりなど、考え始めるきっかけにしていただきたいと思います。

通勤大混乱 解決できるのか?

武田:一方で、ネット上にはこんな声も投稿されています。「インフラ系の会社は休めない」「保育士がホテルで前泊し、なんとか開園した」。災害のときに誰が出勤するべきなのか、自分の会社だけでは決められないこともあると思うんです。どうルール作りをすればいいでしょうか?

廣井さん:いろんな事情がある方がいらっしゃいますのでなかなか難しいんですけれども、1つは、やはり会社の役割って非常に大きいと思うんです。去年の大阪北部地震もそうですし、私が2012年に爆弾低気圧の早期帰宅の行動を調査したときもそうなんですが、「早く帰ってください」とか「出勤しないでください」という指示が出た企業の8割ぐらいが、その指示に従っているというような調査結果があります。そういった意味では、会社の中できちんとルールを決めておくと。役割によっても、あるいは公務員の方とか、病院に勤めている方とか、建築・土木に勤めている方は、たぶん出勤しないといけないかもしれません。そういう意味でルールを決めておく。
一方で、会社だけの最適化と社会としての最適化、つまり渋滞が発生しないとか、あるいは出勤する人の数を減らすという意味では、やっぱり社会で足並みをそろえるためのルール作りが必要で、災害時の出勤ガイドラインなどがあってもいいかもしれません。
2つ目にやはり、首都圏というのは過密でインフラ依存していることを受け止めて、災害時こそ無理せず譲り合う。
最後に、災害時は平時のゆがみが顕在化するとよくいわれるんですが、多分こういうことが起きたということは、どこかにゆがみがあったということかもしれません。そういう意味では、これをきっかけに働き方などを見直すべきだと思います。