毒性が強く、吸い込むと肺がんや中皮腫を引き起こすことから悪魔の鉱物といわれる「アスベスト」。11年前、兵庫県尼崎市の旧工場周辺で死亡者が出て社会問題となり、全国的に対策が講じられたはずだった。しかし今、“第2の波”というべき危険が私たちの生活を脅かしている。戦後建てられた280万棟ものアスベスト建築の解体が一斉にピークを迎える中、解体工事を取り締まる法規則が現場の実態に追いつかず、各地で手抜き工事が行われ、重大な飛散事故が繰り返されていることがわかってきたのだ。監視するはずの行政は人員不足、国は抜本的な対策を先送りし続けている。国民の多くが過去の出来事と捉えているアスベストの被害がなぜ続くのか、この11年の対策を振り返りつつ今必要な施策を検証する。
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