神戸市の連続児童殺傷事件の加害者による手記「絶歌」が、先月、発売され、初版の10万部に続いて、さらに5万部が増刷された。被害者の遺族は、出版社に書籍の回収を要請するも、出版社側は、少年犯罪の実態を知らせる意義があると主張している。元少年Aは、「過去と対峙し、切り結び、それを書くことが、僕に残された唯一の救済であり、たったひとつの『生きる道』でした」と、執筆の理由を記している。出版にあたっては、過去の犯罪を利用して利益を得ていいのかという批判の声が上がっている他、匿名のままノンフィクションを描くことは道義的に許されるのか、生々しい殺人の現場の描写は、同様の事件が繰り返されることにつながらないのかなど、様々な議論を巻き起こしている。元少年Aの手記が社会に投げかけた波紋を追う。
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