今年10月、横浜で土砂が崩れ、住民一人が亡くなった。実は、この事故は自然な山崩れではなく住宅街の裏山に運び込まれた「建設残土」が崩れて起きたものだ。建設残土による崩落事故は2月に大阪、3月に福岡と全国で起こっている。大阪の事故を追うと、建設残土が産業廃棄物に指定されておらず、処理の責任が曖昧になっていることや、近年処分場が減って処分費用が高騰し、そこへ安値で引き取って荒稼ぎする悪質な業者が出てきて、事故を引き起こしていたことが浮き彫りになってきた。建設残土の問題は、1990年代後半、バブル崩壊後、景気回復のため公共工事が増えたとき議論されたが、国は規制せず建設業界の自主性にまかせてきた。今後リニア中央新幹線やオリンピック関連の工事によって建設残土の問題が深まることが想定される。身近に迫る危険をどう防いでいくか、考える。
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