東西冷戦の象徴「ベルリンの壁」の崩壊から25年。民主主義や市場経済といった共通の価値観のもと、誰もが平和と豊かさを享受できる時代の到来が期待された。しかし今、世界は再び冷戦時代に逆戻りするかのような緊迫した状況に陥っている。かつての理想と現実の狭間で、世界はどこへ向かおうとしているのか――2夜連続シリーズで展望する。第一回は、東西統一で誕生した大国ドイツを取り込み、旧共産圏の東欧諸国へと急速に拡大したヨーロッパ統合が直面する課題。「一つの欧州」を掲げ、加盟28カ国・人口5億の巨大な共同体となったEU。しかし、経済の停滞が長引く中、ドイツへ富が一極集中し、域内格差は一向に埋まろうとしていない。今年行われた欧州議会選挙では、「反ユーロ」「反緊縮」を掲げるEU懐疑派が躍進するなど、大きな曲がり角に立たされるEU。その行方を探る。
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