今、日本各地で墓石の不法投棄が相次いでいる。兵庫、茨城、広島と続き、今年は岐阜でも発覚した。中でも淡路島では1500トンもの墓石が今も野ざらしのままだ。背景には、家族とのつながりが失われる無縁化によって、放置される墓が急増していることに加え、子供から墓の承継を拒否された人などが、自分の代で先祖代々の墓を処分し納骨堂などに移す“墓じまい”を行うケースが増えているからだ。かつては代々受け継ぐものと考えられてきた日本の墓。しかし今、都市部では承継を前提としない埋葬が自治体によって進められている。さらに東京では、火葬場から遺骨を引き取らず、埋葬さえしない“ゼロ葬”を選ぶ人も増えている。墓によって受け継がれてきた価値観や文化が急速に失われる中で、揺らぐ日本人の死生観を考える。
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