一般市民に対して世界で初めて化学兵器サリンが使用された無差別テロ「松本サリン事件」から20年が経つ。8人が死亡、140人が負傷した事件。しかしオウム真理教に対する捜査は難航し、この9ヶ月後に東京の地下鉄で、大規模なサリン事件を許すことになる。松本の教訓はなぜ活かされなかったのか?事件から20年が経った今、元捜査関係者や専門家の新たな証言や、埋もれていた資料から、これまで知られていなかった事実が浮かび上がってきた。それは、事件の2日後に一部の専門家たちが、使われた化学物質が「サリン」だと特定していながら、その情報が共有されず、逆に「サリンは誰でも作れる」という誤った認識が広がっていった実態だ。結果として、被害者の男性に疑いの目が向けられ、警察の捜査も混迷を深めて行くことになる。さらに、その後「サリン」の危険性を全国の警察や自治体などで共有しようという動きもあったが、そこにも様々な障壁がたちはだかり、地下鉄サリン事件での被害拡大を防ぐことができなかった。20年目の「松本サリン事件」が今に突きつける教訓を見つめる。
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