一日あたりの観客動員数世界一を記録した伝説の絵画展が、7月末から福島で開催された。「神の手を持つ」と言われ、世代を超えた人気をほこる江戸時代の絵師・伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)展だ。企画を持ち込んだのはアメリカ人の世界的コレクター、ジョー・プライス氏(83)。60年にわたり、人生を捧げて収集した絵画の数々を、今回、無償で提供すると申し出たのだ。日本人の妻・悦子さんと共に、3年前の東日本大震災の悲劇をテレビで目の当たりにし、津波被害で一変した自然の営み、原発事故で脅かされる人々の暮らしに衝撃を受け、今こそ若冲の力を“故郷に帰そう”と考えたのだ。若冲の特徴は極細密で描かれる「生命と美の力」。四季折々の中で色彩豊かに息づく草花や鳥獣たちの絵の力で被災地の人たちを励ましたいと、仙台・盛岡・福島を半年かけてまわることを決めた。子どもから大人まで「泣けた」「力をもらった」と、大きな反響がわき起こっている。高齢となったプライス氏が「これが最後のコレクション展」と語る福島。8万6千個のモザイクからなる傑作「鳥獣花木図屏風」を前に、国谷キャスターが、ジョー・プライス夫妻に展覧会に込めた思い、200年の時を経て色あせない若冲の魅力を聞く。
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