今年5月、ヒマラヤ山脈の8000メートル級のダウラギリ1峰で一人の日本人女性が遭難死した。河野千鶴子さん・66歳。3人の子どもを育てる傍ら、20年以上病院で助産師として働いていた。本格的に登山を始めたのは50歳にもかかわらず、世界7大陸の最高峰を制覇していった。自らを「主婦登山家」と名乗っていた河野さん。女性として様々なハンディや壁にぶつかり乗り越えながら世界の頂を目指していたことが、部屋に遺されていた書きかけの自伝や関係者の証言から明らかになってきた。家庭の中の主婦として、病院看護職の管理者として、そして登山家として、決して「強者」ではない一人の女性が、いかに人生の挑戦を続けたのか。そしてその道がなぜ、悲劇的な最期につながらざるを得なかったか。自らの河野さんの足跡から現代に投げかけるメッセージを読み解く。
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