90歳前後のお年寄りから、彼らの子どもの頃から働き盛りだった1960年代の暮らしぶりを聞き取る調査を、東北大学が行っている。その頃の日本は、家庭のエネルギー消費量が現在のおよそ5分の1から3分の1以下、便利さはなかったものの自然と共生した心豊かな生活が営まれていた。その暮らしの“知恵”の中から現代社会でも通用するコンセプトを抽出して最新テクノロジーに生かし、成熟社会の新たな生活のあり方を考え出そうという狙いだ。お年寄りの話をヒントに、「井戸端会議」という昔ながらのコミュニティーのあり方から「充電スポットを中心にしたコミュニケーション拠点」のアイデアが生まれ、かつて農家の多くに見られた「カイコ棚」からは、「ダイニングの中での水耕栽培」のテクノロジーが実現しようとしている。こうした技術をビジネスモデルに、世界で1億人の雇用を生み出すとの試算をする海外の研究者も現れている。自然とライフスタイルを結びつける新たなテクノロジーの胎動を伝える。
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