原子力発電を再評価する世界的潮流の中、燃料となる天然ウランの獲得競争が過熱している。ウランの国際価格はこの7年で19倍に高騰。カザフスタンなどの生産国には欧米、日本、中国などの資本が殺到し、国益をかけた獲得競争を展開している。一方、天然ウランを燃料にするうえで不可欠なのが濃縮技術。この技術力を武器に存在感を増しているのがロシアだ。シベリアの旧閉鎖都市に「国際核燃料センター」を建設し、濃縮市場での主導権を握ろうとしている。これに警戒感を募らせるアメリカは、独自の濃縮技術の開発に着手した。次世代エネルギーの”主役”に躍り出たウランを巡って交錯する国家の思惑と、熾烈な争奪戦の実態を描く。
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