日本ではいったん絶滅したコウノトリとトキ。海外から野生種を移入して復活作戦が進められてきたが、いま大きな節目を迎えている。個体が約100羽まで増えたことを受け、施設から放して野生に戻すことになったのだ。この夏、兵庫県豊岡では、自然繁殖したコウノトリのヒナが、46年ぶりに無事巣立った。来年には、いよいよ佐渡島でトキが放鳥される。こうした復活作戦の影では、希少な鳥の遺伝情報を世界中の施設で共有し、遺伝子の多様性を守ろうという知られざる努力があった。また、コウノトリとトキは人里で暮らす鳥であり、野生復帰に先立っては地元の環境整備も必要となる。佐渡島ではその環境整備を逆手にとって「トキの郷」というブランドに育て、過疎と高齢化による集落の衰退からの復活の切り札にしようという動きもはじまっている。里の鳥復活にかける2つのまちの取り組みから、人と生き物の共生の道を探る。
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