タクシー運賃値上げの動きが全国に広がっている。全国の60%以上の地域が、競争激化で悪化した運転手の労働条件を改善するためとして国土交通省に値上げを申請、認められれば10年ぶりの大幅値上げとなる。タクシー業界では、5年前の規制緩和以降、厳しい過当競争時代に突入した。固定給がなく、売り上げに応じて運転者と会社が取り分を分け合う給与体系のため会社側は次々増車して利益を確保、その結果一台あたりの売り上げは縮小し運転手の収入は激減した。こうした事態の打開策として打ち出された値上げだが、既に4月末から値上げを実施した大分県や長野県では、値上げが必ずしも運転手の待遇改善に結びつきにくいという実態も浮かび上がってきた。規制緩和がもたらしたタクシー業界の混迷、運転手の待遇と利用者の安全をどうしたら確保できるのか、海外の事例も紹介しながら考えていく。
みんなのコメント