田植えの最盛期。今年はちょっと違った光景が繰り広げられている。全国に100万ヘクタールもあるという休耕田に、いま、次々と水が張られていく。田植えはしないで直まき。作ろうとする米は人が食べるものではない。バイオエタノールの原料として、また鶏や豚など家畜の餌になるのだ。背景にあるのが穀物価格の高騰と2月に政府が示した国産バイオ燃料の大増産計画。これまで、とにかくうまい米作りを目指してきた農家が、少しでも手間をかけず大量生産できる米作りへ。発想の転換を迫られた農家に戸惑いはあるが、低迷を続ける稲作・農業に差し込んだ希望の光でもある。バイオ燃料や穀物高騰という世界的な動きの中で、大きな転換が始まりつつある日本の農業、その最前線の動きと課題を描く。
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