今、全国で操業を止めた中小企業の工場が、無人のまま放置されるケースが相次いでいる。住宅街に突然出現した廃工場は、治安の悪化や将来の街作りにも影響を及ぼしかねない。背景にあるのは、3年前に施行された「土壌汚染対策法」。土地の所有者に対し、工場の廃業・移転時に土壌汚染の調査と、浄化などの対策を義務づけたため、費用を捻出できない中小企業が工場を廃止して放置し始めたのだ。東京都だけでもこの3年間で、放置された工場は60件以上。こうした土地は周辺一帯の地価を下落させる上に、地下水を経由して汚染が拡大する恐れもある。また、土壌汚染の調査方法を巡る問題も明らかになってきた。調査方法に明確な基準がないため、一度「問題なし」とされた土地が後日、別の調査会社によって「汚染あり」と判断される例も発生している。土壌汚染対策法施行から3年、浮き彫りとなってきた課題を検証する。
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