救急病院に運ばれて死亡した患者のうち5人に1人は、「防ぎ得た死」だったことが、千葉県で行われた調査で明らかになった。その大部分は搬送された直後の診断の遅れや処置の過ちなど「初期診療」のミスが原因だった。背景には日本の救急医療体制の立ち遅れがある。救急のノウハウを持たない内科や耳鼻科などの医師が当直する体制をとっているため、損傷の見逃しや処置の優先順位を間違うケースが少なくない。こうした中、救急患者が搬送される度に各科の医師が集まって治療にあたる「外傷チーム」を設置したり、救急専門医を24時間専従で対応する「北米型」のシステムを導入するなどの取り組みが始まっている。しかし、深刻な医師不足の中、一部の医師のやる気に依存しているのが現状でこうした取り組みを行っている病院はごくわずかだ。「防ぎ得た死」をどう減らすか、救急医療の最前線を追う。
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