被差別部落の暮らしを改善するために行われてきた「同和行政」が、今、大きな曲がり角に立っている。大阪市は、10月上旬にも同和関連事業の抜本的な見直し案を発表する。土地の不正使用の是正や優遇事業の廃止、さらに同和施設からの職員を引き揚げという大胆な内容だ。見直しのきっかけは、今年5月に発覚した部落解放同盟支部長による横領事件。大阪市は、差別撤廃を主張する支部長に反論の言葉を失い、不正な事業を続けてきていた。大阪市のこうした事なかれ主義が、利権と不正を生み出していたことが明るみになり、ついに改革に乗り出したのだ。しかし、大阪市の見直し案に対し、地区では波紋が広がっている。「施設は必要だ」と不安の声が広がる一方、部落解放同盟は、組織浄化を図ることで一方的な見直しを避けたい構えだ。大阪市の「同和行政」見直しの背景と、波紋が広がる地区の動きを追う。
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