ヒトはなぜ過労死するほど働き続けてしまうのか。その謎が、最先端の脳科学によって解き明かされようとしている。研究を進めてきたのは文部科学省の「疲労研究班」。20以上の大学や機関が参加し、6年前から、過労死メカニズムの解明に取り組んできた。その結果わかったのが、脳の中にある「疲れの見張り番」の存在だ。動物は疲れを感じると「見張り番」が脳に”休め”という指示を与える。しかし疲れすぎると「見張り番」自体が疲労してしまい、休めの指示を送れなくなる。そのため脳は、過労状態のまま働き続けてしまうというのだ。一方、過労死を防ぐための研究も始まっている。主観でしか把握できなかった疲れの度合いを、人体に寄生するウイルスを利用して客観的に計測。過労死の危険を事前に察知しようという試みだ。過労死大国・日本で進む疲労研究の最前線に迫る。
みんなのコメント