がんや心臓病など重い病気の体験をつづった「闘病記」の出版が相次いでいる。
作者は、作家やタレントなどの有名人ばかりではない。一般の市民が「生きた証しを残したい」さらには「同じ病気で悩む人の役にたちたい」と自費出版する例が増えている。本人しか語れない不安や、絶望も語られているが、文章はむしろ前向きのものが多く、生きようとする意志の強さに読者は共感し、壮絶な体験を共有し生きる力を見つけていく。医療現場でも闘病記の役割が注目され、看護大学では教材として使われ始めた。医師や看護師の対応がどれだけ患者を力づけたり、逆につらいものかが切実に伝わってくるという。
薬や手術だけでは癒されない病気。闘病記を書く人と読む人を追い、人間の生きようとする力を見つめる。
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