日本人の死因第1位を占める「がん」。中でも肺がんは早期発見が難しく、末期になると治療法がほとんどない。年間の死者は5万4000人にものぼる。
こうした中、去年7月、新しい抗がん剤が販売された。その名はゲフィチニブ。商品名イレッサというこの薬は、「治療効果が高い上に、重い副作用は少ない」薬だと見られ、販売前から肺がんで苦しむ患者の期待を集めた。1日1錠服用するだけの経口薬のため、自宅で日常生活を続けながら治療が行えるため、患者の生活の質から見ても、医療費でもメリットは大きいものがある。
ところが販売開始後、124人もの人が副作用で死亡。患者や医師の間に不安が広がった。
しかし東北大学など各病院が独自の服用基準を作ったり、全国の有志の医師らが安全に使うための提言を行うなどの新たな動きが起き始めている。
ゲフィチニブは安全に使えるようになるのか。新しい抗がん剤がもたらした波紋と、安全に使うための模索を伝える。
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