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【全国高校野球福島大会】野球中継はどうやってつくられるの?

技術職員が中継カメラの配置や役割を解説!
  • 2023年07月23日

みなさんテレビでみる野球中継がどのようにつくられているかご存じですか?
今回は、NHK福島が野球中継を行う際の、カメラ配置と各カメラの役割を技術職員が解説します。
この記事を読んで、野球中継をもっと楽しんで下さい!

木曜仮面

NHK福島技術の中の人、木曜仮面参上!
木曜仮面は野球中継が大好きだ!

中継カメラについて

NHK福島では、主に6台の中継カメラを使用します。
各カメラは1カメ(いちかめ)~6カメ(ろくかめ)と番号で分けられ、以下の様に配置されます。
※カメラ番号や配置は、中継現場によって異なります

各カメラの映像は中継車に集められ、「スイッチャー」と呼ばれる人が、放送に使用するカメラ映像を選択することで、中継がつくられています。

木曜仮面

カメラマンは、自分のカメラの役割を理解し、カメラポジションを活かした映像を常に狙っていくんだ!

各カメラの役割

1カメ

他社のカメラマンと隣合わせのこともあります

「バックネット裏」に配置される1カメ。このカメラは選手の顔が見やすいため、守備につく選手を撮るのが主な仕事です。

木曜仮面

被写体が自分のカメラ方向に顔を向けていることを
「面向き(めんむき)が良い」と言ったりするよ!
「面向き」という言葉は野球中継に限らず、撮影現場でよく使うんだ!!

1カメの役割の一つは、守備についている「ピッチャー」「野手」を撮影することです。キャッチャー以外のすべての選手の面向きが良いので、ピッチャーや野手を主に狙います。
また他にも1カメの大きな役割の一つに、
「塁上の先頭ランナー」「ホームインするランナー」を撮影することがあります。「得点を取り合う」野球において、ホームインするシーンや先頭ランナーの動きは非常に重要です。
グラウンド全体を見渡しながら状況を把握し、得点シーンを逃さず撮影するのも1カメの仕事です。

2カメ

「1塁側内野席の上段」に設置される2カメ。
上から全体を見渡せるこのカメラは「状況を見せる」のが仕事です。基本的にボールを追いかけ、一つ一つのプレーを見やすく丁寧に撮影します。塁上にいるランナーの状況や、守備位置を見せるもこのカメラです。ファール、ヒット、牽制、盗塁等、プレーに動きがあった際はこのカメラがまず選ばれます。

2カメがないと中継が成り立たないくらい、とっても重要なカメラなんだ!

3カメ・4カメ

「1塁側ベンチ横」に設置される3カメ、「3塁側ベンチ横」に設置される4カメ。1カメと同様、様々な選手を見せるのに適しています。

3・4カメは「コンビネーション」が大切!
3カメが○○を撮っているから、4カメは△△を撮るというような動きが必要なんだ!

3カメ
4カメ

3・4カメは、「バッター」を撮るのが役割の一つです。バッターを撮るときには、「右バッター」「左バッター」によって体が向く方向が異なりますので、右バッターの場合は3カメで、左バッターの場合は4カメで撮影することが多いです。自分がバッターを撮っていない時は、「ピッチャー」や、「対面側のベンチの選手・監督」「応援団」など、汎用性のあるカメラとして様々な画を狙いに行くことが出来ます。

角度の違う3・4カメは、特に「面向き」を意識して撮影を行うよ!
例えば野手を撮影するとき、一塁手は4カメのほうが面向きが良くなることが多く、三塁手は3カメからの面向きが良くなることが多いよね。
撮影したい選手に対し、3・4カメのどちらが面向き良く撮れるのかお互いに考える必要があるから「コンビネーション」が大切なんだ!

5カメ

5カメ設置場所

5カメは「バックスクリーンのレフト側」に設置されます。
このカメラは野球の基本である「PCサイズ」を撮影するのが主な役割です。ピッチャーのバッターへの投球を見せるPCサイズ。ピッチャー(P)とキャッチャー(C)が映っているのでこう呼ばれます。
簡単そうに見えますが、ピッチャーが右投か左投か、バッターが右打か左打か、またピッチャー・バッターのフォーム、などによって細かく画角を調整する必要があります。
「見やすい野球中継」には安定したPCサイズが不可欠、とても重要なカメラです。

野球カメラの基本の基!
スイッチャーはこのカメラを見て「あ、そろそろピッチャーが投げるな」とか「バッターが入ってきたな」など、現場の状況を把握するよ!

6カメ

6カメから見える画

「バックスクリーンのレフト側」5カメのすぐ隣に設置されることが多い6カメ。
役割の一つは、「キャッチャー」「バッター」「ベンチの監督や選手」を撮影することです。1カメと反対方向から撮影できるカメラですので、1カメには撮れない、面向きの良い人を狙います。
また他にも重要な役割に「スロー映像」用のボールフォローがあります。
※フォローとは被写体を画角から逃さない様に追いながら撮影することです
野球中継のスロー映像で「ピッチャーの球の握り方から投げた球の回転や軌道、バッターのスイング、打球がどこへ飛んだか」を一連で映しているのを見たことがありませんか?それを撮影しているのがこの6カメです。
「ピッチャーのナイスボール」「ヒットシーン」「得点シーン」など、もう一回スローでゆっくり見せたいときに使用されます。

良いプレーはもう一回見たいよね!

番外編・VTRマン

6カメのところで「スロー映像」という言葉が出てきましたが、この「スローVTR」を作成する人がいます。各カメラの映像を見ながら、「ナイスプレーを一番とらえているカメラ」を選択しVTRを作成、必要に応じて再生速度を調整しています。

特に良いプレーは、何度も、色々な角度から、色々な速度でみたいよね!!

スイッチャー

各カメラの映像を見ながら、今必要なものを選択するのがスイッチャーの仕事です。「投球間にバッターを紹介する→3・4カメ」「ピッチャーが投げる→5カメ」「バッターが打った→2カメ」といったように、状況に合わせてカメラを選びます。また、カメラだけでなく「いいプレーの後→スローVTR1番」のように、VTRを選ぶのもスイッチャーの仕事です。状況を把握し、カメラを選択、また必要に応じてカメラマンへの指示も出します。

スイッチャーが見ている画面
※ボケていてすみません

 

視野の広さ、冷静な判断力、野球への理解が必要だ!!

まとめ

各カメラの役割、それを選択するスイッチャーについて説明しました。野球を「正確に」、「ドラマチックに」そして「ダイナミックに」伝えるため、カメラマンも一生懸命頑張っています。また、今回はカメラを紹介しましたが、音声・VE・アナウンサー・ディレクターなど、多くの人が力を合わせて中継が作られています。

野球中継を見る際は是非、迫力のある映像・音声・アナウンサーの実況などにも注目してみてください!

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