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うまいに乾杯~田崎真也と楽しむ 福島の日本酒~

ソムリエの田崎真也さんが福島を訪れ、日本酒の楽しみ方を教えてくれました。
  • 2023年07月13日

今、日本中から注目を集める福島の日本酒! 
全国新酒鑑評会では、都道府県別金賞受賞数で9連覇を誇ります。今年10連覇とはならなかったものの、福島の日本酒のうまさには変わりありません。

番組のゲストは世界的ソムリエの田崎真也さん。福島の日本酒をPRする「ふくしまの酒マイスター」でもあり、日本酒にも造詣が深い方です。

もう一人のゲストは福島の酒造りを科学の力で支える日本酒アドバイザーの鈴木賢二さん。


まずは、福島のお酒の特徴について

鈴木賢二
さん

大まかには芳醇・端麗・旨口。
適度に香りがあって、それでいて爽やかな感じで、しっかりとした旨みがあって、あと最後にキレがある、これが福島の特徴かと思います。

田崎真也
さん

海沿いで食べられていた食事は昔から新鮮な魚をそのまま食べることができるので、お酒は辛口でしっかりしたタイプ。内陸で食べられていた食べ物は海でとったものを干して、味付けは一般的に濃い味付けのものが多いので、お酒は甘みがあって、ふくよかなタイプ。
食文化にも、お酒が影響を与えているようなところもあります。


多様な味わいを持つ福島の日本酒、

うまさの秘密とは・・・

会津美里町で江戸時代から続く酒蔵です。2年連続で全国新酒鑑評会で金賞を受賞しています。
8代目の小林靖さん。酒造りを始めたのは3年前。
実はIT企業のサラリーマンでしたが、祖父がかつて経営していた酒蔵を引き継ぎました。
酒造りを始めた1年目は困難の連続だったといいます。

小林靖さん

酒造りをやりながら問題が起きてはデータに残して、ノート見たら分かるようにして、毎日その繰り返しでしたね 。

小林さんを支えたもの
①清酒アカデミー

福島県の酒造組合が運営する 「清酒アカデミー」です。県内各地の若い造り手たちが、蔵の垣根を越えて学び合います。 

一緒に勉強をしていく中で同期生ができるんですけど、やっぱり授業が終わった後は、一緒にお酒を飲んで情報交換をしたり、卒業しても絆はずっと続いていくもので、酒蔵同士がライバルでもあり仲間でもある。

小林さんを支えたもの
②マニュアル

ゲストの鈴木さんが作った「福島流吟醸酒製造マニュアル」です。美味しい日本酒をつくるための技術的なポイントがまとまっていて、経験と勘だけに頼らない酒造りを実現させました。例えば、今まで造り手たちの頭を悩ませていた、アルコールを適度な濃度にするために水を入れる「追い水」という工程。マニュアルには、この「追い水」をするタイミングを導き出す計算式が書かれています。

鈴木賢二
さん

私は皆さんに金賞を取ってもらいたい気持ちだけだった。
蔵はやっぱり(震災後)風評被害を受けてしまった。「安心だから飲んでください」と言ってもやっぱり飲んで頂けない。
 なので、ここは切り口を変えて
「おいしいから飲んでくれ」
「安全安心は当たり前だ」というふうにしないと、飲んでもらえないっていうことで、 蔵が非常にやる気を出して、それで震災の震災後2年目から去年まで、ずっと金賞数で日本一を取り続けることができたのかなと思ってます。


そんな、福島の日本酒を楽しむための
オリジナルレシピを田崎さんに考えて頂きました。
①純米大吟醸✕田崎流カプレーゼ 

②純米酒✕ホッキ貝のクリーム煮

田崎真也
さん

フランス料理のなかでワインに合わない、合いづらいと言われていた食べ物、例えば卵料理など。ほとんど日本酒が相性が良い、フランス料理店で日本酒がだんだん採用されてきている。フランスの三つ星レストランで、日本酒を置いていないところは本当に少ないです。

田崎さん考案のオリジナルレシピは、以下の画像をクリックすると見ることが出来ます。


進化を続ける福島の日本酒。
田崎さんが、新たな挑戦を続ける酒蔵を取材しました。

訪れたのは浪江町にある酒蔵、社長の鈴木大介さんです。
今年、新しい日本酒を開発したといいます。

鈴木大介さん

アンコウやヒラメなど、常磐ものを使った魚介料理、8種類に合わせた、その名も「魚種専用酒」です。

料理の甘みや苦みなど、5つの味の要素を測定し、そのデータを解析することで魚介料理と日本酒の相性が分かります。例えばホッキ飯の場合、旨みや甘み、塩味が強く出ています。そこで料理にない苦みや酸味を、日本酒が補うことで、全体のバランスを整えています。

さっそく田崎さん、魚種専用酒を試してみます。この日はカレイの煮付けと専用酒を合わせました。

田崎真也
さん

この第一印象は甘みから来て、酸が結構バランスよく調和していて、わりとすとんと切れる、さっぱりした苦みなので、白身の煮付けっていう感じの料理にすごく合うなと思います。

そもそもどうして、魚種専用酒をつくろうと思ったんですか?

鈴木大介
さん

私は港町で育ったので、地元の魚、福島の魚をおいしいとずっと思っていた。
震災があって、みなさんの食卓に出ていく機会が少なくなったことがあり、地元の魚を応援したいっていうことで作った。

浪江町で江戸時代から続く酒蔵5代目の鈴木さんですが、
自宅と酒蔵は津波で全壊しました。
震災から10年後、道の駅なみえの隣に酒蔵を再建し、
浪江町での酒造りを再開できたのです。

田崎真也
さん

福島の海の幸で、風土が培った料理とそれをよく知ってる方が、それに合わせて造ったお酒を、すごく一緒に楽しみたいって思いますよね。


最後に、福島の日本酒に、ゲストの2人からメッセージを頂きました。

私は実際にお酒をつくっている方々と接する機会が多いので、つくり手たちの思いを感じて飲んでいただければと思います。そして、今年は鑑評会金賞受賞数で10連覇は達成できませんでしたが、その思いを持って、来年また日本一奪還に向けて頑張りたいと思いますので、是非、そのへんを味わっていただければと思います。

福島の伝統的な食べ物は、いろんな味付けのものが、海の幸、山の幸、本当に豊富。それに、それぞれ合うものが存在しています。まずは福島の“どこの酒”といって、いろんなものを楽しんでください。いろんな経験をされて、今後ぜひ、さらに新しい未来に向けて頑張ってもらいたいなと、改めて思いました。

みなさんも福島の日本酒で、ぜひ乾杯してみてください! 

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