大阪府
2017年2月24日 放送

大阪市の南に位置する堺。空から見ると仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)をはじめとする「百舌鳥古墳群」の大パノラマが広がる。巨大な古墳は海からの見栄えを意識して設計され、出土物はこの地が鉄器など様々な大陸の文化をいち早く取りこんだ技術革新の場だったことを物語る。その技は現在の打刃物につながり、さらには「もののはじまりみな堺」と謡われ、三味線や線香など様々な“日本初”を生み出た精神として受け継がれた。そして中世、南蛮貿易で巨万の富を得た自治都市・堺に千利休が誕生。その茶の湯の豊かな楽しみは今も形を変えて根付いている。堺は大坂夏の陣、そして太平洋戦争の空襲と2度も灰燼に帰したが、この町と海との深い関係を物語る奇祭「やっさいほっさい」や、古墳の町の独特の正月迎え「百舌鳥精進」など、古い伝統を今に伝える。古墳・中世・近現代の三つの時間を行き来しながら、何度も滅ぼされながら甦った奇跡の町=堺を美しい映像と共に描いていく。

旅のとっておき

私が「堺」を担当した動機は「そこに古墳があるから!」。縄文時代の土偶の番組や、伊勢神宮の古代史の番組を担当したことのある私は、堺=古墳の町として興味を持った次第。しかし!行ってみると、古墳には入れないし、下から見ても森にしか見えないし。しかも中世の「南蛮貿易で栄えた自治都市」の面影は大坂夏の陣&太平洋戦争の空襲により見る影もないしで、途方に暮れた次第。続きを読む

ポスター
堺
[写真]油谷勝
[協力]堺市/堺市博物館
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