城崎温泉

兵庫県
2014年5月2日 放送

兵庫県北部、志賀直哉の小説『城之崎にて』で知られる城崎温泉。その歴史は聖武天皇の時代に遡るといわれている。柳並木の下を客が浴衣姿で湯巡りする昔ながらの風情が残り、松葉ガニなど海の幸も魅力の温泉場だ。しかし、日本海沿いの山と川に挟まれた土地は猫の額ほど狭く、15分もあれば歩いてしまう距離。そこに80軒ほどの小さな温泉旅館が肩を寄せ合う。
そんな城崎に伝わる格言がある。
「町は一つの旅館。駅はその玄関、道路は廊下で、旅館は客室、商店は売店。城崎に住む者は、みな同じ旅館の従業員だと思いなさい。」
「町を一つの旅館」と考え、そこに湧くお湯を1300年にわたって大切に守り、支え合って生きる城崎温泉の人々。その冬から春にかけての小さな温泉場ならではの暮らしを描く。

<オムニバス項目(抜粋)>
●信仰と温泉・・・城崎の見守ってきた温泉寺。町の人はお湯に感謝し寺に祈りを捧げる。
●街はひとつの宿・・・外湯を巡り、射的場を楽しみ腹ごなしはラーメン。共存共栄の基本。
●街のお母ちゃん・・・親子孫の3代にわたり客の話を聞いてきた80歳のスナックのママ。
●北但大震災・・・街が壊滅した震災。今に残る共存共栄の精神と、街の風景の基盤となった。
●城崎人になる・・・外から婿養子にきた若旦那。街に支えられることを覚え、城崎人になる。
●城崎の顔の交代・・・老舗旅館に34年勤め、愛されてきた名物看板女将。最後の1か月。

旅のとっておき

城崎温泉を担当した、江頭です。
1時間の長い番組でしたが、城崎の魅力は「人」だと、伝えたいことはそれに尽きます。たとえば、外湯の脱衣所で出会うおばあちゃんたち。
不慣れな浴衣に苦戦していると、「おいで」と手招きしてくれて、自分の着替えもしないまま、浴衣を着付けてくれたりする。
どこの外湯でもそうやって、誰かと出会い、誰かが助けてくれる街です。続きを読む

ポスター
城崎温泉
[切り絵]伊賀二郎
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