知床

北海道
2011年4月15日 放送

世界自然遺産に登録された「知床半島」。太古の昔から、故郷を離れ新天地に活路を見出す者たちや、この土地の豊かな恩恵に預かろうとする者たちへ、北の土地は厳しい試練を与えてきた。自然を克服しようとする戦い、自然と折り合う知恵。暮らしの中には、今もその歴史の跡を見ることができる。美しさを極める極寒の四季の移り変わりの中に、自然と向き合う日本人の暮らしの一端を見る。

<オムニバス項目(抜粋)>
●極寒の自然
春、流氷が溶けて流れ出す栄養でオキアミが大発生。200種の魚、鯨、ミズナギドリが集まりシャチも姿を現す。エゾシカの住む森ではヒグマが目を覚ます。
●番屋の暮らし
流氷が消えると漁師たちは漁業小屋に移り住む。沖合は鮭の屈指の漁場。すぐ側ではヒグマも鮭を捕る。人と熊は「互いの距離」をわきまえ、共存する。
●移住者の農地
元々は密林、極寒、強風の「農業不適地」。明治以来「開拓すれば農地が持てる」と信じて移り住んだ人々が切り開いた。

旅のとっておき

夜半に降った雨でぬれた落ち葉の上、足もとのおぼつかない急しゅんな坂を登る。
ほとんど人も入らないからだろう。たどるのは誠に心細い、幾人かが残してくれたわずかな踏み跡だけ。人、というよりも、エゾシカたちの獣道と言ったほうが正しいのかも知れない。続きを読む

ポスター
知床
写真:山鹿裕司
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