スタッフブログ

「透明なゆりかご」舞台ウラより #10

「透明なゆりかご・美術の世界」スタジオ編

由比産婦人科の内部はスタジオセットです。
「演じている人物達の、表情や佇まい、更には息使いまでも余す事なく撮影したい。
このドラマの命に対するテーマを、極限まで凝縮し視聴者に感じてもらう映像を撮影できる空間を作って欲しい。」
セット製作にあたり、S監督からのオーダーはシンプルではあるが、とてもハードルの高いものでした。
幾度も監督と打合せをし、美術スタッフ総力で由比産婦人科の世界観を作り上げました。

★リアリティの追求。
セットに徹底的なリアルな質感を持たせました。
由比産婦人科は、由比が独立に際して既存の建物(医療機関ではない)を医院として改装し開業したという設定を設けています。
どこかノスタルジックが感じられるが当時新しく導入した設備と相まって時代を超越した感を出しました。
待合ロビーに残っている木目の板、壁の板腰、アイボリーの塗り壁は古い建物の名残りです。

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待合は冒頭でピンク色の壁紙に改装されます。
これは、1997年当時産婦人科が無機質な内装からピンク色の壁紙が貼られるなど妊婦さん達に優しい空間へと変わる過渡期を表現したものです。
脚本にその設定が描かれています。
何処までをピンク色の壁紙にし、既存の塗り壁を残すかのバランスは、由比産婦人科の世界観を作る上で熟考しました。
ピンク色の壁紙ですが、よく見ると単なるピンク色ではなく小さく丸い模様が入っています。この小さな丸は命の源をイメージしています。
医院内に飾られている小道具、医療器具は、実際の産婦人科をいくつも取材し医療考証の先生の指導を元に装飾班がリアルに自然に飾っています。
先生から装飾班の徹底した拘りにお墨付きを頂きました。

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★光と色彩
ドラマ「透明なゆりかご」の世界観を映像化するにあたり医院内に入り込む光の効果を計算したセット設計をしました。
このドラマで描かれるテーマはとても重い内容です。原作漫画の優しいタッチの表現が実写でどう出せるか悩みました。
出した答えが光の効果です。
大きな窓やガラス壁を多数設けて自然光が様々な角度から入り込み柔らかな陰影、印象を作り出す空間を設計しました。
取材を元に分娩室(手術室)にも窓を設けました。照明班が素晴らしい光を作り出し、生命感と透明感を生み出しています。
セットの壁色は白系色です。医師や看護師の制服は白色なのでそれらが美しく映えるアイボリー系の白色を配しました。
強い色の印象は廃し、飾ってある小物に透過性のある色、カーテンやブラインドを透した色味が白壁を淡く染めて様々な色味を感じさせました。
また、反射する小物や棚を使った写り込みの効果で、映像の多次元感も表現しています。

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★漫画・絵画的な表現
漫画や絵画で背景を描き込んだリアルな空間で人物が描かれている時と、
背景を省略し人物だけを描き焦点を絞って心情を表現している時があります。
美術セットでこの表現が出来ないだろうか?と考えました。
それが光の入る大きな窓を多く配置すること、白壁に同系色や反射する小道具を飾り、
カーテンやブラインドを透過した色に染まった空間を作る事でした。
リアルなシーンは作り込んだ空間をそのまま、人物のアップや心情を強調するシーンは
強い光を背景にカーテンなどの色味の染まりが水彩模様の様に抽象的で省略された空間として映るようにしました。カメラでフォーカスをかけるように美術的なフォーカス効果を施しています。
ドラマ「透明なゆりかご」の美術的世界観をさりげなく自然に感じて頂ければ幸いです。

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×  ×  ×

「透明なゆりかご」第9回『透明な子』

あす14日(金)夜10時から放送です。

番組ホームぺージはこちら

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:50 | カテゴリ:透明なゆりかご

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