夏の自由研究アイデア
「わたしの町のセミ 大調査!」
身近なのに、実はその生態は謎だらけ?
セミは夏の自由研究にピッタリの題材!
梅雨が明けるとセミの鳴き声とともに夏が到来。
夏休みに入ると子どもたちが虫とり網でつかまえたり、ぬけ殻を集めたりする光景が日本中で見られます。
しかし、意外にもその生態は謎だらけ。
例えば、セミの鳴き声を東京の人は「ミンミンミン」、大阪の人は「シャーシャー」と答えます。
それは地域によってよくいるセミの種類が違うからです。(東京ではミンミンゼミ、大阪ではクマゼミがたくさん鳴いています)。しかし、こういった大まかなことはわかっていますが、各地域にどんなセミがいて、どんなセミが多いかということは実は詳しくわかっていません。
日本には36種類ものセミがいます。ミンミンゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシのような身近なセミもいれば、中にはハルゼミ・ヒメハルゼミ・チッチゼミなど、なかなか出会えないセミもいます。また、特定の地域にしかいないようなセミもいます。
あなたの町ではどの種類のセミが多いのでしょう?
また、時間帯や場所によって、見つかるセミの種類は変わるのでしょうか?
ぜひ夏休みの自由研究であなたの町のセミを大調査してみましょう。
自由研究
「わたしの町のセミ 大調査」のやり方
1 計画を立てよう。
まずは調査をするための計画を立てましょう。
1日だけでは分からないこともあるので、少なくとも3日間ほど調査するようにしましょう。連続した3日間で調査する場合もあれば、時期をずらして3日間調査する方法もあります。もちろん1週間、1か月やるとより多くのことがわかるので、余裕がある人はトライしてみましょう。まとめの作業をする日のことも考えて、他の予定や家族の計画なども確認しながら、調査する日を決めましょう。
※熱中症に注意。水筒をもって、帽子をかぶる。小まめに休憩をとるなど、対策をしましょう。
※夕方はかならず保護者の人と一緒に行動しましょう。
※学校ごとに決められている外出のルールがある場合は事前に確認し、ルールに従って調査しましょう。
2 予想しよう。
調査をする前に、自分なりの予想をしてみましょう。
例えば、
・わたしの町ではどのような種類のセミが見つけられるだろうか?
・場所によってセミの種類は違うのだろうか?
・時間帯によってセミの種類は違うのだろうか?
・気温や天気とセミの活動には関係があるのだろうか?
簡単な予想で良いので、メモしておきましょう。
予想なので間違っていても大丈夫です。何も予想せずに調査をするのと、予想した上で調査をするのとでは、調査中に考える内容の深さがまったく違います。
また、あらかじめ「シチズンラボ」のサイト内にある、「セミ図鑑」の動画を確認して、種類ごとの見た目や鳴き声の違いを確認しておきましょう。
3 調査しよう。
準備するもの
・カメラまたはスマートフォンやタブレット
・えんぴつ
・調査シート
【注意】 ※熱中症に注意。水筒をもって、帽子をかぶる。小まめに休憩をとるなど、対策をしましょう。 ※虫よけスプレーをして、虫刺され対策をしましょう。 ※メモをとる時には、まわりに気を付けましょう。 |
調査シートをダウンロードして、バインダーなどにはさみましょう。
セミを見つけたら写真や動画を撮影しましょう。後から鳴き声の確認をすることもできるので、動画で撮影するのがオススメです。
※5の研究に参加するために、ぜひ写真や動画を撮るときは「位置情報」を付けて撮影してください。
(記入例)
セミの種類を見分ける方法
セミの種類は「大きさ・色・模様」や「鳴き声」で見分けることができます。
「シチズンラボ」のサイト内の「セミの種類の見分け方」を参考に見分けましょう。
4 まとめよう。
「まとめシート」を参考に、場所と時間で見つかったセミの種類を分類しましょう。
「まとめシート」のまとめ方は一つの例です。自分なりのまとめ方を考えられる場合はぜひ考えてみてください。
(記入例)
「まとめシート」にまとめ終わったら、大きめの紙(画用紙や模造紙)に書き写して仕上げましょう。
仕上げるときには撮影した写真を貼って、見やすくするのがポイントです。
・写真を使って見やすく仕上げよう!
・見つけたセミの種類ランキング、セミがとまっていた木の種類ランキングなど、自分で工夫して付け加えてもいいよ。
・調査をして気づいたことや、わかったことを書こう!
5 日本中の仲間と一緒に大研究!
あなたの調査・研究を、
セミの謎解明につなげよう!
今、「シチズンラボ」では謎多きセミの生態を解明するための調査をしています。
「シチズンラボ」は、子どもも大人も、科学者もそうでない人も、一緒に探究する「研究室」。
つまり、あなたも研究室メンバーの一員!
ぜひセミの謎を解明するために、あなたが撮影した写真や動画を投稿してください。
あなたの投稿がきっかけ新しいことがわかるかもしれません!
研究者からのメッセージ
セミの調査をするときに、セミのぬけ殻を集めるのもいいですが、ぜひ生きて鳴いているセミも観察してほしいです。大きさ・形・色・模様・羽(翅)・鳴き声など,いろいろと。成虫のセミを捕まえるのはそう簡単ではありません。私は長年、セミを探して日本中を旅していますが、セミに逃げられては「一緒に飛んでいけたらな」ともどかしい思いをすることがよくあります。
でもそんな経験からわかってきたこともあります。例えば、セミは種類によって現れる時期が微妙に違うこと,とまる木に好みがあること,一日のうちで鳴く時間帯や鳴くきっかけがほぼ決まっていること,いつも木の高いところ(梢や枝先)にしかとまらないもの,など性質がそれぞれ違っています。でもたくさんいると動きが敏感でなくなり捕まえやすくなり,しかも,鳴く時間帯も長くなります。それから、どこでも普通に見ることができるアブラゼミは数が多くなると捕まえやすいですが、九州の一部の島では多くても捕まえるのがとても難しいです。このように種が同じでも地域によって性質(性格)が違うこともあります。どうしてでしょうか。
こうやって実際に生きているセミに触れてみると、さらに研究したいこと思いつくことも増えてきます。今回の調査をとおして、自然や生き物に興味をもち,目を向けてくれたらうれしいです。
「日本セミの会」幹事 林正美・三好智和