シチズンラボ生放送スペシャル「人間がつくるランダムの法則」分析結果続報!
2023年8月18日に放送した「シチズンラボ生放送スペシャル」では、テレビの前のみなさんに実験に参加してもらいました。
そのひとつが、「人間のつくるランダムの法則」を知るために、茨城大学准教授の矢内浩文さんと行った実験です。
この実験について、分析の結果が少しずつ出ています。
>>これまでの分析結果はこちら!<<
人間がつくるランダムと客観的なランダム
まずは生放送で行った実験をおさらいします。
実験では、生放送の視聴者に「ランダムに1~6の数字を30個書く」という課題を出しました。そして、書き終わった30個の数字のうち、「1・1」「4・4」のように同じ数字が続いた回数をリアルタイムで投稿してもらいました。
13040人が参加した実験の結果がこちらです。
いちばん多かったのは0回で42.5%でした。8割ちかくの人が、連続した数字を2回以下しか書いていません。
これを、サイコロを30回投げて1~6のどの数字が出るかを記録した、「客観的にランダムな数字列」からとった結果と比べると、次のようになります。
30回のうち同じ数字が続く回数の割合は5回以上が最も多くなっています。
人間と比べてサイコロのほうが同じ数字が連続する回数が多いのです。
人間には、「ランダム」と聞くと同じ数字が並ばないようにという心理的なバイアスがかかります。さらに、ひとつ前に書いた数字に影響される「記憶効果」も数列に反映されます。そのため、「人間が作るランダム」、サイコロが生成する「客観的なランダム」とは異なるものになるのです。
ここまでが、生放送でみなさんと証明した結果です。
シチズンラボサイトでの追加質問
放送終了後、この実験についてシチズンラボのサイトで追加の質問を行いました。
①30個の数字のうち、1つ減る数字が並んだ回数 (例:4・3、6・5) ②30個の数字のうち、同じ数字が並んだ回数 (例:1・1、2・2) ③30個の数字のうち、1つ増える数字が並んだ回数 (例:1・2,2・3) |
3つの質問に加え、性別・年齢を尋ねました。
分析に有効な回答は、2859件寄せられました。
生放送での結果とぴったり一致!
②「30個の数字のうち、同じ数字が並んだ回数」は、生放送で聞いたのと同じ内容をあえて質問しました。
実験データの信頼性を確認するためです。
生放送での実験とサイトでの追加質問の結果に大きなずれがある場合、データの信頼性に疑問が生じますが、今回は見事に一致しました。
過去の実験結果とも一致
データの信ぴょう性を調べるため、過去に積み重ねてきた実験と同じ結果が出ているかの検証も行いました。
これまでの研究から、「人間のつくるランダム」で
①1つ減る数字が並んだ回数
②同じ数字が並んだ回数
③1つ増える数字が並んだ回数
の数字を線グラフにしてつなぐと、②が極端に少なく、V字型を描くことが分かっています。
今回の追加実験で得られた結果で描いた線グラフがこちらです。
きれいなV字型を描きました。
これまでの研究で蓄積されてきたデータと結果が一致しています。
このことも、今回のデータが信頼するに足るという証拠になります。
番組での実験にも科学的な可能性
本来、科学の実験は実験室などでは、結果に影響を及ぼしうる要素を徹底的に排除して行います。テレビの前での実験では、そうした統制をとることができません。
しかし、今回の検証で、この実験については実験室で得た結果と同等の信頼できるデータが得られたことが分かりました。
番組を使った大規模な科学実験でのシチズンサイエンスに、まだまだ可能性があるということです。
30代が最もランダム?
データが信頼できるということを踏まえて結果を分析したところ、新たな発見がありました。
同じ数字が並んだ回数を年代ごとに見てみます。
同じ数字を続けて書いた回数は、30代がいちばん多いことが分かりました。
サイコロなら、この回数は約4.8回ですから、30代が「客観的なランダム」により近い結果になっているということです。
この結果について矢内さんは、「課題を与えられて、なにをやればいいのか裏までかいて対応できるのが30代ということかもしれない」と話しています。
これからもデータの分析は続くので、まだまだ新たな発見があるかもしれません。
続報にご期待ください。