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どんな子でも受け入れる、地域の「安心できる場所」が、子どもを変える

どんな子でも受け入れる、地域の「安心できる場所」が、子どもを変える

2022年2月21日更新

独特のこだわりがあったり、感情の起伏が激しかったりなどで、周囲とうまくなじめず、トラブルを起こしてしまう子どもたちがいます。周囲に「困った子」と扱われ、学校になじめず、人とうまくコミュニケーションを取れず、孤独を深めるばかり……。そんな子どもたちに一番必要なのは、拒絶されない、誰もが受け入れてもらえる「居場所」です。発達障害など、さまざまな事情や問題を抱える子どもたちが、安心していられるスペースで、人とふれあいながら変化、成長する姿を紹介します。

ここにいていいんだ、と誰もが思える場所を

富山県高岡市のコミュニティハウス「ひとのま」。不登校の子どもたちや、病気や人間関係の悩みで働くことの難しい人たちがやってきます。運営する宮田隼さんがこだわっているのは「無理に悩みをききだそうとしないこと」。困った人の問題をすぐに解決しようとするのでなく、まずは誰でも来られる場所であることを大事にしています。今まで助けられる存在として扱われてきた子どもたちが、「ひとのま」の活動を通して、少しずつ頼られる存在に変化していきます。「ここにいていいんだ」と誰もが思える場所から、不思議な化学変化が生まれています。

制度のはざまにいる人たちを迎え入れるコミュニティハウス

富山県高岡市のコミュニティハウス「ひとのま」。不登校の子どもたちや、病気や人間関係の悩みで働けない人たちがやってきます。運営する宮田隼さんは、自分自身も貧しい母子家庭で育った経験から、困った人の問題を解決しようとするのでなく、誰でも来られる場所であることを大事にしています。時には、行政が対応できないケースの相談を受けることも。専門化する福祉行政のはざまにいる人たちを受け止める場所になっています。

ETV特集
ひとのま ある一軒家に集う人々
(2017年6月24日放送)

成長をゆっくり見守る、誰も断らない放課後デイサービス

発達障害などの子ども20人が通う武雄市の放課後等デイサービス「ガラパゴス」では、どんな子も「断らない」のがモットー。代表の小柳由加里さんは、2人の発達障害の子のお母さんでもあります。誤解されやすく、他人になかなか理解してもらえない。そんな子どもたちは周囲から「困った子」と扱われがち。でも実は、一番「困っている」のはその子たち自身なのだといいます。まずはその子を理解すること。そこから一緒に「どうしようか」と考える。周囲の友だちやおとなたちに見守られながら子どもたちは少しずつ変化していきます。

愛よりも理解を。どんな子も断らない/障害児の学童保育

発達障害などの子ども20人が通う武雄市の放課後等デイサービス「ガラパゴス」では、どんな子も「断らない」のがモットー。代表の小柳由加里さんも、2人の発達障害の子のお母さんとして、日々、子どもたちとていねいに向き合っています。誤解されやすく、他人になかなか理解してもらえない。そんな子どもたちも、周囲のおとなたちに見守られながら、自分を理解し、周囲を理解し、少しずつ成長していきます。そんな子どもたちの姿を追いました。

金曜の夜は金サガ
佐賀 どんな子も断らない “障害児の学童保育”の記録
(2020年11月13日放送)

避難生活になじめない、発達障害の子どもと家族を支える

原発事故のため、多くの人々が避難所生活を強いられた福島県南相馬市。環境の変化に人一倍ストレスを感じてしまう発達障害の子どもたちとその親たちは、特に苦しい立場に置かれました。大阪でフリースクールを運営する白井智子さんは、市の依頼を受けて、発達障害を抱える子どもたちのために学童保育「みなみそうまラーニングセンター」を開設。は、いつもと違う日常の中で、周囲のサポートを受けながら、少しずつ変化を受け入れ、自分のペースを取り戻していきました。そうした子どもたちの姿が、生活再建に懸命な親にも安心感をあたえています。

被災地で発達障害の子どもと家族を支える

原発事故のため、多くの人々が避難所生活を強いられた福島県南相馬市。発達障害の子どもたちとその親たちは、特に苦しい立場に置かれました。大阪でフリースクールを運営する白井智子さんは、市の依頼を受けて、発達障害を抱える子どもたちのために学童保育「みなみそうまラーニングセンター」を開設。自分のペースで穏やかに過ごすことで、子どもたちは徐々に落ち着きを取り戻し、生活再建に手一杯な親にも安心をあたえています。

東北発☆未来塾 しらい校長の“スマイル”授業
震災から発達障害の子どもを救うために
(2015年8月10日放送)

生きづらさを抱えながらも、助け合える地域の居場所

大阪市西成区にある「山王こどもセンター」。障害や貧困や、不登校など、さまざまな困難を抱える地域の子どもたちを分け隔てなく受け入れ、独自のカリキュラムを通して、多様な価値観の中で成長していけるよう支えてきました。センターで、子どもたちは自分たちでバザーをしてお金を集め運営費にしたり、料理をみんなで作ったり、町内で野宿をしている人たちに食事を届けたり、様々な活動を体験します。お金がなくても誰でも安心して利用できる場所を、自分たちの力で作っていく。その手応えが、子どもたちの自信につながっていきます。

どんな子どもたちでも受け入れる地域の居場所

大阪市西成区にある「山王こどもセンター」。家や学校に居場所のない、さまざまな困難を抱える地域の子どもたちを分け隔てなく受け入れ、独自のカリキュラムを通して、多様な価値観の中で成長していけるよう支えてきました。しかし運営費を支出してきた大阪市は事業を廃止。センターの危機に、地域の大人たちや子どもたち自身も立ち上がり、お金がなくても誰でも安心して利用できる子どもたちの居場所を守ろうとしています。

ハートネットTV シリーズ 子どもクライシス
第2回「失われゆく“居場所”」
(2014年4月2日放送)

おわりに

周囲とトラブルを起こしがちな発達障害の子どもたち。様々な事情から、不登校やひきこもりになり、人とコミュニケーションをとれず孤独を深める子どもたち。そんな子どもたちを、大人が「変えよう」としなくても、安心していられる場所と、ゆっくり見守る周囲の人々がいれば、子どもたちは自分の力で変わっていきます。まずは、「受け入れる」こと。各地の取り組みからその大切さが伝わってきます。