海外放送事情

地域における公共放送の役割

〈第3回〉韓国
ローカルサービスの現状と課題

韓国の地上放送は3大ネットワーク(KBS、MBC、SBS)体制が組まれており、人気のあるドラマやバラエティーショーなど、多くの番組がソウルのキー局で制作されている。一方で、地域・ローカル放送局の間からは、キー局の番組をただ流すだけではなく、地域に根ざした独自番組の制作に積極的に取り組もうとする動きもみられる。現在では、地域・ローカル放送局によるローカル放送比率は、KBSが10%台前半、MBCが10%台後半、民放が20%台後半から30%台前半にまでなっている。しかし、キー局に比べると極端に少ない番組制作予算や制作人員、また、キー局制作番組とのバランスにおいて、編成をいかに組むのかといった課題が山積している。

地域・ローカル放送局にとって、各地域の情報を地域に密着しながら伝えることは基本的な役割であるが、同時に、キー局で制作された人気番組を、地方の視聴者に届けることも大切な役割である。それぞれの役割の間で、いかにバランスをとりながら地域・ローカル放送局の運営を行っていくべきか、今回の取材からは、視聴者サービスのありかたについて模索を続ける関係者らの姿が浮かび上がった。

メディア研究部 田中則広