海外放送事情

「ブログジャーナリスト」を通じて見る中国メディアの今

中国では最近、ブログ・ミニブログを中心としたニューメディアの普及が急速に進んでいる。中国メディアと言えば従来は「新華社」「人民日報」「中国中央テレビ(CCTV)」といった、中国共産党が直接的コントロールする伝統メディアが中核をなしていたが、インターネットの時代に入り、ブログやミニブログが普及すると、誰でも発信できることや読者の反応も掲載されるという双方向性などが若者を中心とした市民の強い支持を集め、今や中国メディアにおける主流の座を伝統メディアから奪い取る勢いである。こうした中国のニューメディアについて、2012年7月に日中メディア交流事業で来日したブログジャーナリストにインタビューすることで、中国のメディアがより自由なジャーナリズムを目指して変わりつつある現状を明らかにした。こういった一種の“自由化”は、中国の政府当局が海外への批判のみを容認した場合、極端な民族主義、具体的には「反日」に向かうリスクも否定できないが、中国のニューメディアで活躍するジャーナリスト達の多くは、政府当局の統制の中でも真実の報道に向けたゆまぬ努力を続けている。また、海外情報が以前より豊富になったことで、ジャーナリスト・一般市民の双方で国際的な視野も育ちつつある。日本としても「中国メディアは単なる宣伝の道具」といったステレオタイプな認識を改めて中国への情報発信を行うことが求められている。

メディア研究部 山田賢一