海外放送事情

【シリーズ】国際比較研究:放送・通信分野の独立規制機関

第2回 韓国 KCC(放送通信委員会)とKCSC(放送通信審議委員会)

~政治からの「独立性」は保てるか~

本稿では、2008年2月のイ・ミョンバク(李明博)政権後に誕生した大統領直属の放送・通信規制機関KCC(Korea Communications Commission,韓国放送通信委員会)と、放送・通信のコンテンツ内容の審議を行うKCSC(Korea Communications Standards Commission,放送通信審議委員会)について報告する。これら2つの機関について整理し、法的地位や組織体制などの現況、並びに政治からの独立といった観点から検討を行った。

2000年代以降、韓国の放送行政は独立行政機関の放送委員会が、通信行政は政府・情報通信部が担ってきた。また、コンテンツ内容の審議については、放送が放送委員会の審議部門、通信が情報通信部傘下の情報通信倫理委員会で実施してきた。しかし、こうした体制は、放送と通信の融合が進む中で、放送委員会と情報通信部との間の主導権争いを引き起こし、事業推進の停滞を招くといった事態を引き起こした。そのため、2006年には政府内に放送通信融合推進委員会が設置されて調整が図られ、やがてイ・ミョンバク政権の発足とともに、「放送通信委員会の設置および運営に関する法律」が施行された。この法律により、放送・通信の規制機関は一本化され、現在のKCCとKCSCが誕生した。

メディア研究部(海外メディア)田中 則広