海外放送事情

世界の放送通信独立規制機関の現状

2009年8月の総選挙で勝利した民主党政権は、政策公約に掲げた放送通信改革に着手しました。原口総務大臣は、放送に対する国の恣意的な介入を阻止するため、日本独自の“言論の砦”としての監視機関の設置に意欲を示しましたが、昨年末に設置された「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」に議論がゆだねられています。

海外に目を転じると、1934年に設置されたアメリカのFCC(連邦通信委員会)をはじめとして、世界の多くの国では行政府から独立した放送通信規制機関が設置されています。近年のメディア環境の激変を受けて、新しいところでは、2006年に台湾にNCC(国家通信放送委員会)が、2008年には韓国で KCC(韓国放送通信委員会)が作られました。このように、独立規制機関の設置はまさに世界の潮流と言えますが、組織の成立や権限、財源、さらには行政府からの独立性の保障など、実際の独立規制機関の在り方は多様であると言えます。

海外メディア研究グループでは、平成22年度に各国の独立規制機関についての調査研究をスタートさせるにあたり、今号では、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、台湾、韓国の6カ国・地域についての概要を報告します。

メディア研究部 海外メディア研究グループ