海外放送事情

ジャーナリズム・ジャーナリスト教育を探る

~上海・復旦大学新聞学院からの報告(上)~

放送文化研究所では、2009年6月に「ジャーナリスト再教育」をテーマに、職業人としてのジャーナリストの教育が、どのように行われているのか調査、研究することになった。NHKでは、長い歴史を誇る「研修センター」(旧中央研修所)があって、新人記者、ディレクターから2年、3年、4年とその年代にあった「教育研修」が行われている。このほかにもデスクや管理職にも同様の、またその時々におきた問題をテーマに、識者や外部ジャーナリストを招いての研修も行われている。海外のテレビ局の研修を請け負うなど幅広い活動で、高い評価を受けている。

しかし、「研修」はあくまでも「社内(外)研修」であって、オン・ザ・ジョブトレーニング(以下OJT)の補完に当たるもので、ジャーナリズム教育、ジャーナリスト再教育とは質が違うのではないかというのが、われわれ研究班の仮説であり、どの部分の、どういった内容が異なるのかを検討しようというのが研究目的である。

そこで海外の事例も検討しながら考察を進めていく。

広復旦大学の横顔

復旦大学は、日本では知識人の間でしか余り知られていないが、「北の北京(大学)、南の復旦(大学)」と呼ばれているほどの中国有数のエリート校である。上海という土地柄もあって自由な校風で、日本で言えばさしずめ「京都大学」といったところであろうか。中国の著名な教育者・馬相伯によって1905年に創設されたが、当初は私立の「復旦公学」と呼ばれ、1917年に復旦大学に、さらに1941年に国立大学となった。「復旦大学簡介」によれば、「人文学院」「外文学院」といった人文系から社会科学系の「法学院」「経済学院」、さらには2000年に上海医科大学との合併により「上海医学院」「公共衛生学院」など15の全日制の学院(大学)を抱えている(その後もコンピューター科学技術学院などが増設)。これらの学院のなかでも「マルクス主義哲学」をはじめ、「メディア学」「遺伝学」「内科・外科学」など40学科が国家重点学科に指定されていて、文系・理系を幅広く包括する総合大学である。(以下略)

メディア研究部 小俣一平