海外放送事情

シリーズ

南米における地上デジタル放送日本方式の普及①

~ペルーでの勝利が生んだ雪崩現象~

地上デジタルテレビ放送には大きく分けてアメリカ方式、ヨーロッパ方式、日本方式の3方式があるが、このところ南米各国では、地上放送をアナログからデジタルに変更するにあたり、日本方式の導入を決定する国が相次いでいる。2006年6月にブラジルが日本方式を採用した後は少し間があいたものの、 2009年4月にペルーが採用を決めてからは、アルゼンチン、チリ、ベネズエラと、矢継ぎ早に各国が日本方式の採用を発表している。南米12カ国中5カ国、人口では実に南米4億人の80%が、近い将来日本方式による地上デジタル放送でテレビを見ることになる。

南米での日本方式の普及拡大をめざす関係者の活動の様子や、南米各国の地上デジタル放送を中心とする放送事情を、3回にわけて紹介する。第1回は日本方式の採用を決定して動き出したペルー、2回目は実際に地上デジタル放送が始まっているブラジル、3回目は採用を決めたばかりのアルゼンチンやどの方式にするかまだ決まっていないパラグアイについて、それぞれ報告する予定である。

今回のペルー編では、2009年9月にペルーのリマで開催された日本方式普及のための国際フォーラムの様子を紹介するとともに、ペルーが日本方式を採用するに至る経緯を、実際の交渉にあたった寺﨑総務審議官、目賀田駐ペルー大使、コルネホ・ペルー運輸通信大臣の3人のキーマンへのインタビューを通して明らかにする。

メディア研究部(メディア動向) 小林憲一