海外放送事情

子ども向けテレビ番組をめぐる世界の動向

新しいメディアが次々登場し、子どもたちのメディアとの関わりが多様化する時代となっても、テレビは子どもの生活において、相変わらず大きな位置を占めている。

世界に目を向けると、子ども向け専門チャンネルの普及、あるいは既存チャンネルにおける子ども向けサービス重視の傾向によって、1990年代以降、子ども向け番組の放送時間量の増加が顕著である。また、社会の変容も大きくなる中、子どもの発達・成長に役立つ番組の開発も多様な形で進められ、その成果は、これまで以上に広く、世界各地の子どもたちに視聴される時代となってきた。他方では、テレビをはじめとするメディアが子どもに及ぼす様々な影響をめぐる議論も、世界共通の関心事として相変わらず存在している。

2004年は、子ども向けテレビ番組の国際コンクール「プリ・ジュネス」の開始から40年の記念すべき年であった。また、放送・メディアの環境を世界の子どもたちにとって好ましい状況にしていくことをめざして 1995年から3年ごとに開催されている大規模な国際会議「子どもとメディア」世界サミットの開催年でもあった。

本稿では、次の3つにポイントを絞って、このような時点の世界の子ども向けテレビ番組をめぐる世界の動向の分析と今後へ向けての考察を試みる。

  1. 子ども向けテレビ番組の増加とその影響:
    • 専門チャンネル増加時代の特徴
  2. 世界にみる子ども向け番組の特徴:
    • (1)社会の現実に向き合う番組
    • (2)多様化する幼児向け番組
    • (3)子ども参加型番組
    • (4)アニメ番組
    • (5)テレビに求められる夢・ファンタジー
  3. 子ども向けテレビの発展を支える環境: ウェブサイトの充実と国際的な協力関係

放送研究 小平さち子