「常用漢字表」見直しの動き
本文(1,374KB)
常用漢字表は、漢字使用の目安として、昭和56(1981)年に内閣から示された1,945字の漢字群である。新聞・放送もこれにもとづいて漢字を使っている。戦後すぐから昭和56年まで使われていた「当用漢字表」が漢字制限の意味合いが強かったのに比べると、「常用漢字表」は「目安」というやや緩やかなものになったと言われている。
新聞社・通信社・放送局のマスメディア各社は、現在、1,945字の常用漢字表よりも少し多い漢字数を使って、情報を読者や視聴者に伝えている。NHKもほぼ同様である。
現代は、パソコンや携帯電話などの情報機器の急速な普及にともなって「IT化社会」となったが、現代でも漢字使用の目安は必要とされる。このため、文化審議会国語分科会(旧「国語審議会」)は、同表を見直すことを決め、平成22(2010)年春に「新漢字表」を文部科学大臣あてに答申することをめざし、審議を継続している。早ければ、この新漢字表は同年秋から実施され、現行の常用漢字表は廃止される予定である。
今年度に入り、国語分科会漢字小委員会での検討が急速に進み、7月末には現行の常用漢字表に追加する候補188字、また現行の常用漢字表から削除する常用漢字5字という案が承認された。ことし秋以降は、漢字の音訓(読み方)や、字体(いわゆる旧字体・新字体など)の検討に移る。
そこで、ここまでの経過を整理し、また今後の動きと課題も展望して、以下の項目について報告する。
- 常用漢字表の成立と性格
- マスメディアでの漢字の運用
- 文化審議会国語分科会での検討(平成17年度の検討開始から現在まで)
- NHKでの検討
- マスメディアでの検討
- 今後の動きと課題