メディアフォーカス

ニューズ・コープ,中南米の衛星事業統合へ

ニューズ・コープと傘下のディレクTVグループは,10月11日,中南米地域の衛星テレビ事業を統合すると発表した。中南米では,ディレクTVグループの子会社「ディレクTVラテンアメリカ」とニューズ社系のスカイが衛星テレビ事業で競ってきたが,2003年12月,ニューズ社によるディレクTVの買収がFCCなどから認められ,両社の統合は時間の問題と見られていた。

今回の統合計画はディレクTV,ニューズ社,メキシコのテレビサ・グループ,ブラジルのグロボ・グループ,米リバティメディアの5社の合意によるものだ。衛星放送の主要市場はブラジルとメキシコだが,ブラジルでは,ディレクTVの42万3,000の加入世帯が,加入世帯80万強のスカイ・ブラジルのブランドに統合され,新運営会社の実質支配権をディレクTVが握る。メキシコでも,ディレクTVが操業を停止し,テレビサを主要株主とするスカイ・メキシコがこれまでの94万の加入世帯に加えて,ディレクTV系の26万6,000の加入世帯を手に入れるが,テレビサとディレクTVが6対4の比率でスカイ・メキシコの株式を持つ。残りの地域であるチリ,コロンビア,アルゼンチン,ベネズエラなどはすべてディレクTVが運営することになる。ディレクTVグループは,メキシコを除くすべての中南米地域を統合することになり合計340万の加入者を,数年で500万に増やすとしている。世界規模の衛星ネットワークの構築という,ニューズ・コープ社主マードック氏の夢がほぼかなうことになる。

池田正之