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テレビ番組の海外へのインターネット送信 差し止めの仮処分決定

海外在留邦人向けにエフエービジョン(千葉県松戸市)が運営する,インターネットを利用してテレビ番組を録画・送信する有料サービス「録画ネット」について,民放キー局5社(日本テレビ,TBS,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京)とNHKが著作隣接権を侵害するものとして差し止めを求めた仮処分申請で,東京地方裁判所は2004年10月7日,放送事業者側の申請を認める決定を行った。

録画ネットは,エフ社がテレビチューナー内蔵パソコンを利用者に販売して事業所内に設置し,録画出来るよう設定,利用者は毎月保守管理費を支払い,インターネットを経由して遠隔操作で番組を録画し,自分のパソコンにダウンロードして視聴する仕組みである。

放送事業者側は7月30日,「録画ネットは,サービス自体が放送番組を複製して利用することを目的とするもので,放送事業者などの著作権者や著作隣接権者が有する複製権(著作権法第21条および第98条)を侵害している」として,サービス提供の中止を求めた。

これに対してエフ社は,「録画ネットは,海外に住むテレビパソコンの所有者が,日本に設置してある自分の機器を自分で操作して録画し,自分で視聴することが目的である。著作権で認められている私的利用(著作権法第30条)の範囲であり,適法」と反論した。

東京地裁は,「サービスに関わる管理の状況や支配の程度が利用者側よりも事業者側の方が強く,サービスは事業者による録画代行で違法な複製行為である」とする判断を下し,サービスの差し止めを命じた。

東郷荘司