メディアフォーカス

ラジオ放送の将来のあり方に関して総務省が検討を開始

総務省は「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」を設立し,初会合を9月22日に開催した。ラジオが主題となるのは異例で,メンバーは29人,NHKや日本民間放送連盟,日本ラジオ広告推進機構,東京や大阪のAM/FM放送事業者,学識経験者,移動通信事業者,商社,家電メーカーなど幅広い構成となっている。懇談会では,検討テーマとして(1)他メディアとの競合の発生などラジオ放送を巡る急速な環境変化への認識や位置づけ,(2)デジタルラジオの広告放送などのビジネスモデルやユビキタス時代における役割,(3)アナログラジオの将来像,などが提示された。報告書は来年3月にまとめる予定である。
 総務省が懇談会を発足させた理由として,ラジオ放送を取り巻く環境の急激な変化に早急な対応を迫られていることがあげられる。多メディア化の進展,具体的には,携帯受信機向けの,映像データ配信の実用化や衛星モバイル放送の開始,それに2006年春にも実現する予定の地上デジタルテレビの1セグメント放送など,競合するメディアの出現により,ラジオ放送事業者の危機感が高まっている。
 デジタルラジオは,実用化試験放送が東京と大阪で行われているものの専用受信機は市販されていず,しかも本放送の開始が地上アナログテレビ放送終了後の2011年以降の計画となっており,普及の遅れが懸念されている。会合では,デジタルラジオの全国的なチャンネルプランの早期策定による全国展開や,本放送の開始時期を早める方策の検討などの提言が放送事業者側から出された。

東郷荘司