メディアフォーカス

米“メディア王”のR.マードック氏,息子2人をFox幹部に登用

21世紀FoxやNews Corp.のトップとして多くのメディアを率い,“メディア王”の異名を持つルパート・マードック氏(84歳)が,映画会社や地上テレビ,ケーブルテレビ局など多くの映像系メディアを傘下に持つ21世紀FoxのCEOを,7月に次男のジェームズ氏に引き継ぎ,本人は長男のラクラン氏とともに共同会長職に就くことになった。6月11日にアメリカの複数のメディアが一斉に報じた。

Washington Postによると,マードック氏は長年,一族による要職の継続を望んでおり,関係者の関心はその時期と誰がどの役職に就くかだった。Post紙は,息子2人との“トロイカ体制”になるが,実質的に最大の権限はマードック氏が握り続けるだろうと伝えた。同氏は現在もFoxの最大の株主であると同時に,Wall Street JournalやNew York Post,イギリスのTimesなどの活字系メディアを擁するNews Corp.の会長を引き続き務めている。また,アメリカの保守層に大きな影響力と人気を持ち,視聴率も好調なFox Cable Newsの創始者で会長を務めるロジャー・アイルズ氏は,一時ラクラン氏との確執が取りざたされ去就が注目されたが,引き続き現職に留まり,マードック家の3人に報告する義務を負うことになると現地メディアは伝えた。

豪州出身のマードック氏は小さな新聞社の経営を手始めに,その後,英・米・豪の放送や新聞,出版,映画,音楽など多くの企業を買収し,巨大メディア企業を作り上げた。しかし傘下の英新聞の盗聴スキャンダルなどにより2013年に会社を2つに分けていた。

柴田 厚