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4K・8K の新ロードマップ公表

4K・8Kについては,2013年6月,推進に向けたロードマップが総務省により策定・公開されたが,その後の状況変化等を受け,2014年2月からフォローアップ会合が開催され,9月9日に中間報告が公表された。報告では,2016年に地デジ難視聴対策である衛星セーフティネット終了後にできるBS空き周波数帯域において4K・8K試験放送を時分割で行うこと,BS等において4K・8Kの実用放送を2018年までに可能な限り早期に開始することが明記された新ロードマップが示された。実用放送の伝送路は「BS等」となっている通り結論には至らず,また4K・8K対応受信機の開発・市場投入時期も検討を急ぐ必要があると記されるに留まった。

伝送路については,現在放送中のBS右旋,110度CS左旋,国際調整で利用可能になった場合のBS左旋が検討されているが,左旋の電波を家庭で受信するためには,対応テレビ,受信機のほか,アンテナや同軸ケーブル等の新たな設置が必要で視聴者負担は大きい。また集合住宅等の場合は共視聴システムの大幅改修が必要である。さらに受信機については,4K・8Kを共に受信するためには8Kのデコーダーの開発等が不可欠であるが,現時点で日本以外に8K放送を検討している国はなく,開発コストに見合う市場がないため,メーカー側は開発に二の足を踏む状況となっている。ただ,既に流通している4Kデコーダーのみの受信機を市場投入すると,8K放送時は家庭で放送そのものが受信できないというジレンマが生じる。

これらの課題は2015年夏に向け,さらなる検討が行われるという。視聴者への普及を最優先に考えた議論を期待したい。

村上圭子