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中国,天安門事件から25年で言論統制強化

中国では,学生らの民主化運動を武力で弾圧した6.4天安門事件から25年を迎えるのを前に,5月に入ってジャーナリストや言論人の拘束が相次ぐなど,統制が強化されている。

このうち5月8日には,それまで行方不明になっていた70歳の女性ジャーナリストの高瑜氏が,刑事拘留の中で中国中央テレビ(CCTV)に登場し,顔にモザイクがかかった状態のインタビューで,国家機密漏えいの罪を認めたと報道された。また,中国政府に批判的なアメリカのニュースサイト「博訊」の北京駐在員の肩書を持つ向南夫氏も13日,当局に拘束された状態でCCTVのニュースに登場,政府当局による土地の収用や警察の暴力に関する虚偽の記事をサイトに投稿した罪を認めたと報道された。さらに香港の出版社の編集長で,中国政府が出版を禁止した書籍『中国教父習近平』の出版を計画していた73歳の姚文田氏も,2013年10月に深で拘束された後,5月7日に密輸の罪で懲役10年の判決を受けた。このほか,人権派弁護士の浦志強氏や,民主派知識人の徐友漁氏らも次々と拘束されていることが分かった。

こうした中国政府の言論統制強化の動きに対し国際的な批判の声が高まり,日本では,東京大学の阿古智子准教授らが呼びかけ人となり,160人余りが連名で13日,公開書簡を発表,中国政府の対応を過剰反応だと批判した上で,今後事態が悪化した場合はさらに広範なレベルでの署名活動などを展開する方針を明らかにした。また,ジャーナリスト保護団体の「国境なき記者団」なども,相次いで関係者の釈放を求める声明を発表した。

山田賢一